石破茂首相は9日、参院選の街頭演説で日本が「なめられてたまるか」と語り、トランプ米大統領による対日関税強化方針に強く反発しました。この発言は、国民の不安に寄り添う姿勢を示す一方で、外交交渉における強硬路線への転換とも受け取られています。
注目すべきは、石破氏の発言が参政党の掲げる「日本人ファースト」的スローガンと類似している点です。参政党は都議選で外国人政策を前面に押し出し躍進しており、自民党が外国人対策に乗り出した背景には、参政党を選挙上の脅威として意識し始めたことがあるとみられます。
実際、自民党は「違法外国人ゼロ」を公約に掲げ、外国人の運転免許切り替え審査の厳格化や、外国人対策の司令塔組織の新設などを打ち出しています。石破首相自身も「日本の習慣を身につけ、ルールを守ってもらう」と強調しており、保守層への訴求を強めています。
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こうした姿勢に対しては、党内外から批判的な見解が相次いでいます。国際政治学者の細谷雄一氏は、石破氏の発言が外交交渉を損なう可能性があるとし、慎重な言葉選びの重要性を指摘しています。
また、甘利明元経済再生担当相も、日本政府の関税交渉における戦略について懸念を示し、苦言を呈しています。
石破首相の発言は、参院選を前にした保守層へのアピールと、トランプ政権への牽制の両面を持ち合わせていますが、外交の場での発言としては慎重さを欠くとの指摘もあります。今後の関税交渉の行方と、参政党の台頭による自民党の政策変化が、選挙戦の重要な焦点となりそうです。
実は関税交渉をぶっ壊したい? Imagesbybarbara/iStock