職場で関わってはいけない40代の特徴

黒坂岳央です。

若い頃、筆者は40代以降の中高年に対して、「立派な人も多いが、一方でどこか対応が面倒なタイプも一定数いる」と感じていた。そして、自らがその年齢になって、「なぜ面倒な中高年が生まれるのか」が実感をもって理解できるようになった。

本稿では、職場で関わってはいけない40代の特徴を考察したい。

※ただし、ここで述べる内容はあくまで一部の傾向であり、あくまで「そうなりやすい構造」に着目するものである。

Yuji_Karaki/iStock

1. 他人の挑戦に冷笑的

若い頃は誰しも「自分は将来こうなりたい」というそれぞれの夢、目標があるものである。だが、現実的に40代以降になると、大きな夢や目標を持っている人は一気に減少してしまう。

これはおぼろげながら人生の先が見えたような感覚になることで起きる。そのため、中高年になってもなお、自己研鑽に励む人は非常に少数なのだ。

特に問題は「キャリア」だ。自分が昇進ルートにのっていないことがわかると「もはやこれまで」と打ち止めと悟り、それ以降は役職定年のカウントダウンが開始する。そして自分が登れなかった梯子を他人が掴むことに嫉妬し始める人が出てくるのだ。

もちろん全員そうなるわけではなく、他人の成功を祝福できる器の持ち主はいるが、一部は承認欲求をこじらせて面倒な人になる。

「え?そんなことやってるの?それで成功した人なんて見たことないけど笑」などと彼らはとにかく他者の挑戦を笑い、足を引っ張り続けることをやめられない。

他人を祝福することが、自分の過去の選択や停滞との対比につながり、それを避けるために挑戦を否定的に見る心理が働くという推測が可能だろう。

2. 昔のやり方にこだわる

40代以降は「昔はこうだった」「これまでこうやってきた」と繰り返し語り、現在の新しい挑戦やアイデアを否定しがちだ。

だが、「仕事のやり方」でそうなれば「前例踏襲主義」という年齢的な思考の固定化が出ている状態と注意が必要だ。そしてこういう人はどこの職場にもいるものである。

筆者は業務改革プロジェクトに携わったことがあったが、古株の中年社員からは「これまでずっと同じやり方で問題がなかったのに、新しいシステムなんて入れたらどんなリスクがあるかわからない!」と猛反発された。

海外本社からのお達しなので結局、システム導入が断行され、最初はみんなブツブツと文句を言っていたが半年もすると以前よりも残業時間は減り、やがて誰も文句は言わなくなった。

世の中は「変化に対応したものだけが生き残る」という鉄の掟があるため、仕事では代案なき抵抗勢力は「変化を阻害する因子」になることが少なくないのだ。

3. お金自慢

SNSを中心に「自分はこんなにお金を持っている」という承認欲求に突き動かされる人を見る。20代で財を成したなら確かにすごいことであるし、誰しも若い頃は「自分はいかにすごいか」を周囲に誇りたくなるタイミングというのはある。若い人はまだ理解できる。

だが、30代後半、40代にもなって「自分は経済的に余裕がある」「こんなにいい思いをしている」と誇るのは「痛い人」と見られるリスクが高まる。起業しないサラリーマンでも堅実に蓄財し、10年20年と積み重ねてある程度の年齢ならそれなりに資産がある人などいくらでもいるし、起業家でも資産が100億、1000億と上には上がいるからだ。

たとえばそのお金を使って社会を良くする活動にあてるとか、子供たちに寄付をするとか、イノベーティブなビジネスを立ち上げて雇用を生み出したり、経済に寄与し、国益につなげるなら大変立派なことだ。なぜならそこにはお金だけではなく、「利他的な価値観、行動力、胆力」といった資金力以外の優れた能力や人格の存在を確認できるからである。

しかし、稼いだお金を見せびらかし、ただ自分のために使うだけの行為から「すごい!」という要素を見出すことは難しい。

4. 自我を通す人

最後に自我が強すぎる人である。もちろん、自我自体は持っていて何の問題もない。自分自身も「ここは譲れない」という価値観はある。問題は「仕事」という結果を出すこと以外求められない場でそれを出してしまうことにある。

たとえば「この仕事は自分向けではないのでお断りします」みたいにいってしまうことだ。独立した人なら仕事のキャパやブランドイメージにもつながるので、自分にメリットが有る仕事だけにこだわることは理解できる。だが、サラリーマンという立場で同じことをするのはまったく話が違う。

実際、会社員でも上司から振られた仕事に対して「嫌だ」と断っていいと思う人がいる。しかし、上司から振られる仕事というのは「業務命令」であり、「受け手が採否を決められない」という前提がある。

「仕事は選ぶが、給与は満額ください」は雇用主に労務サービスを提供して給与を受け取る立場として通らないだろう。

嫌ならその会社を立ち去るしかない。だが、古株の中年になると良くも悪くも、自我が強くなりがちで自分本位で仕事をしてしまいがちだ。

これらの要素はすべて「扱いにくさ」という言葉に集約できる。自分自身をメタ認知して「自分は周囲の人間から見て気軽に声をかけやすいか?」を自問し、少しでも近寄りがたい空気が出ているなら出どころを再チェックするとよいだろう。自分自身も気をつけるようにしている。

 

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