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参議院議員選挙、各党が公約を出している。減税、給付金などいろいろ提案されている政策にせよ、財源についてはある程度考えないといけないだろう。
個人的には、政策評価をしっかりやり、優先順位をつければ、財源などすぐに見つかる。もっと簡単にいえば、政党の背後にいる利益団体の利益を減らせばいいだけ。つまり、租税特別措置や利益団体への補助金を減額すればいい。「財源の裏付け」で批判しあう議論は不毛であり、実際はそんなに難しいことではない。
各党は減税などの財源については以下のように考えているようだ。
- 自民党:税収の上振れ
- 公明党:国の税収増活用
- 立憲民主党:赤字国債は発行せず、つみすぎた基金や租税特別措置の見直し分
- 日本維新の会:税収の上振れ
- 国民民主党:税収の上振れ、赤字国債の発行、外為特会を始めとした特別会計の運用益、基金の残高で不要不急のもの
- 共産党:大企業の内部留保の時限的課税で10兆円確保
- れいわ新選組:大企業の法人税引き上げ、金融所得課税強化、国債発行
中でも、共産党やれいわ新選組が提起しているように、「大企業」の法人税、そして、「富裕層」への税金をどうするかが問われないといけないはずだ。
はっきり言うと、大企業は過去最高の収益を誇り、富裕層は株高で儲かり、多くの国民が苦しむ中、恵まれた環境での恩恵を受けてきたわけだ。賃金があがらなかったのは、企業がリストラをできなかったとはいえ、適正に賃金をあげることが難しかったから、そして富裕層は税制が優遇されすぎてしまったのだ。
政治はこれまで儲かりまくった人たちや組織に我慢を説得するべきだったのだが、企業団体献金をくれるスポンサーには逆らえなかった。これが日本の失われた30年の本質である。適正な賃上げと物価高を許容し、応分の税負担を求め、同時に雇用の流動化を求めていれば、産業構造改革が進み、今のような日本の経済衰退は防がれたのかもしれない。
大企業の法人税
消費税で言うと、輸出時に消費税が企業に払い戻される「輸出免税制度」が、大手輸出企業は優遇されている。消費税の還付金額は4兆円で、消費税収の2割の規模と言われている。
また大企業が資本金を1億円以下に減らすことで税制上の「中小企業」になるケースも目立っていて、総務省によると資本金1億円超の大企業が3万社から2021年度に約1万9000社へと減少、著名企業にも資本金を1億円以下にする動きがある。また、タックスヘイブンを活用した「課税逃れ」も行っている。
ルールの中での節税・税金対策なので、それを批判はできないが、ある世界的IT企業のように税法の穴をついて、複雑な子会社間の取引を行う企業もある。さらに、大企業優遇税制による莫大な大企業減税もあった。その結果、大企業の税負担率は法定実効税率30%のはずが、平均の実質負担率の平均は18%となっている(参考情報)。
法人税の税率は企業活動には中立的というのが経済学の基本で、法人税は利益に対する税なので、税率を引き上げても、法人の行動には影響が及ばないと言われている。税引き後利益が減るだけで経済に対するマイナスの効果はないはず。しかし、経済に悪影響を与えるという主張を活用して、大企業は負担を減らしてきた。しかし、労働者の賃金は上がっていない。
労働者と経営者、社内格差
さらに、大企業経営者の報酬の高さだ。経営再建中の日産自動車の前社長の報酬額は4億円近い(前年6億5,700万円)。基本報酬、賞与、業績連動型などから構成される。社長以外で役員報酬1億円以上も5人もいる。社長の給料は、社員の給料の数倍どころか数十倍、数百倍になってしまったわけだ。過去に、社長と新人社員の税引き後の報酬がわずか7.5倍に過ぎないという平等社会日本がいつの間に格差社会になってしまった。
- 富裕層の株取引への税率引き上げ
- 所得税・住民税の最高税率引き上げ
- 金融所得課税
- 富裕層の資産課税
超富裕層が増加する中で、こうした税制の見直しが求められているはず。アベノミクスで株価上昇で大儲けした人たちが存在したが、トリクルダウンは起きなかった。労働者の賃上げが、各党の共通課題であることからして、賃上げの原資は富裕層に求めていかざるを得ないだろう。
社会の公平性を取り戻そう!
上記、別に意図的になったわけではないが、結果的に大企業や儲けた人たちを優遇しすぎてしまった。また、金融所得課税に対して株価が反応し、案をひっこめたように、富裕層の権力は強大でもある。有力政治家でも、断固として進めるのが難しいのが現実だ。
「勝ち組」が闊歩する社会はどう考えてもおかしい。富裕層の所得税、法人税など負担能力のある人、企業に負担してもらう「応能原則」の考え方で再配分を図るのが政治の責任だろう。