40代で気持ちが若い人、幼い人の違い

黒坂岳央です。

40代は格差がはっきりと見えてくる年代である。自分自身が40代なのだが、同年代の人間を見て「この人は気持ちが若くて素晴らしいな」という人と「幼さを感じるな」という人に分かれる。

若さと幼さ、似ているようで異なるパラメータについて考察したい。

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コミュニケーション力

若さを感じる人はコミュ力が高い。ビジネスを円滑に進める力がある、というだけでなく自分とは合わない相手、文句や不満を持ったクレーム対応、年代の異なる世代相手でも上手に対話する力がある。まずは相手を認め、傾聴し、押し付けずに提案する力がある。

一方で幼い人は真逆に近い感覚がある。自分とは合わない相手を迫害、弾圧、差別で「排除」しようとする。クレーム対応に感情的に応酬して「勝ち負け」の土俵で戦う。世代の異なる相手を前にすると年上には「老害」、若者には「若いから理解できない」と年齢を理由にぶった切る。

両者の違いを一言でいうと「自分本位か?利他的か?」という言葉に集約される。若い人は利他的精神を持って柔軟に対応する力がある一方で、幼い人は自己中なのだ。

責任感

気持ちが若い人は責任感がある。仕事でもコミュニティでの活動でも積極的にリーダーシップを発揮する。あらゆる活動において「周囲のためというより、自分のために頑張る」という意識を持ち、やらされ感がないので前向きで生産的、効率的、エネルギッシュに作業を進める。

また、後輩や若手の育成にも積極的に貢献する意欲があり、それゆえに周囲からも信頼され好かれていつも人が集まっている。

一方で気持ちが幼い人は責任感がない。40代である程度人生経験をしているのに、責任から逃げ続け、成長する厳しい道を避け、楽に受け身に流され続けて生きてきたから彼らは10代のバイトのような感覚のままだ。

仕事の責任を他者に転嫁し、「これ自分の仕事じゃないんで」「あの人から言われてやっただけ」とすぐ逃げる。いよいよ逃げられない困難な局面に直面すると、過去に乗り越えた経験がないので感情的になり、冷静さを欠く。

お金の使い方

筆者は「お金の使い方をみれば、その人の本音がすべて見える」と思っている。人生の履歴書が出費に全開に出てしまい、そこには口先では誤魔化しきれないその人の性格、価値観などがわかってしまうのだ。

気持ちが若い人はお金を「人生を楽しむ道具」という感覚で丁寧に使う。他者交流の飲食代に使い、自分の能力開発のための自己投資にあて、余剰資金を投資に回す。特に自己投資については積極的な傾向がある。これは40代になるまでの人生経験を経て「自分はまだまだ変われる。ここから人生を発展していける」という自信に裏打ちされている。

一方で幼い人はお金を雑に使う。自分をよく見せるための見栄に使い、感情的に散在するかと思えば、爪の先に火を灯すようにケチケチしたお金を一攫千金を夢見てハイリスク投資をする。

そして過去に挑戦した経験がないので自己投資は絶対しない。努力する他人にベットしても、自分自身にベットして努力する道を選ばない。だから彼らは株は買っても技術書は買わない。

SNSでの振る舞い

気持ちが若い人はSNSを「リアルの拡張の場」として使う。充実したリアルな人生があり、それを拡声器のように使う。ビジネススキルや実績をSNSで活用することで潜在顧客を集めたり、良い人間関係を構築する。また、SNSは「情報収集やつながり」と実用性を重視し、あくまでツールと割り切る。

幼い人はSNSを「満たされないリアルを埋める依存先」として使う。リアルを充実させる代わりに、満たされている自分を演じてSNSに嘘と誇張を投稿して周囲の気を引こうとする。

誰しも若い時期ならこうした道を一度は通るものであり、それ自体は成長過程の一つとして致し方ないし、ほとんどは20代で虚像と実像の差を理解して卒業する。だが40代でも幼いままの人は人生経験が浅く、ずっとSNSやネットで偽りの人生を歩き続ける。炎上や揉め事にはいち早く参加して安全地帯から他人を叩いて鬱憤を晴らすのだ。

40代になると実年齢より気持ちが老け込んでいる人、若くて活動的な人、幼いまま20代のような感覚の人にわかれる。誰しも若々しくありたいが、幼くはなりたくないはずだ。両者の違いを論じてきたが、一言でいうと「人生経験を積む」これが最大の処方箋である。

結局、検索して見聞きするだけでは自分の人生の身にならない。わかったつもりで偏見や認知の歪みだけが強くなり、思い込みが強いので行動力が落ちてしまう。実際にいろんな経験をすることで逆に気持ちがフレッシュなままでいられると思っている。

 

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