40代でも人生を変える人は何が違うのか?

黒坂岳央です。

一般的に40代ともなると変化するのが難しくなる。転職、起業、人付き合い、趣味、思考、習慣などまったく新規の領域へ足を踏み出すことは大変難解だ。これには人生経験、成功体験、サンクコストと言った歴史の引力もさることながら、新しい領域への興味関心の喪失や既存の領域の居心地の良さなど心理的な側面も影響する。

その一方でドンドン変化し続ける人もいる。自分自身、手前味噌でおこがましいが、変わることは得意だと思っている。毎年新しい仕事、新しい趣味、新しい習慣化を実践し続けており、「毎年変化し続けること」を重視している。

筆者の周囲でも「変わる人、変われない人」にわけることができ、両者の違いを明確に言語化できる要素があると思っている。独自の視点で取り上げたい。

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危機感

40代ともなると「変化すること」に少しずつ抵抗と不快感が出てくる。今の会社で働いている人も「転職や起業をしよう」と提案され、ロジカルな合理性を示されても多くが抵抗を感じるはずだ。そして取り立てて波風が立たない「ホワイト企業」にいることに安心感を覚える。

一方で変化する人は「心地いい場所」に対して逆に不安を覚える。だからホワイト企業に入ると「ああ、ずっとこの快適な会社で働きたい」と思うのではなく、「ここで飼いならされ、牙を抜かれていざ失業したら自分はダメになる」と感じて自ら成長できる厳しいフロンティアへ向かう。

自分自身、会社員で東証プライム上場企業で働いていた時期、同じ感覚があった。会社員はとにかく食いっぱぐれることはない。会社も大きく、給与も平均より高い。繁忙期以外は残業もなく帰れるし、職場は人間的に出来た人ばかりで快適だ。

だからこそ、「このままでは自分はダメになる」という漠然とした危機感があった。こんな素晴らしい場所で目に見える結果を毎月叩き出せないようなら、いざ会社が傾いて転職を余儀なくされた時に手遅れになる、と。

変化できる40代は一生危機感のアラームが脳内で鳴りっぱなしだ。だから次々と変化する。

やりたいことがたくさんある

変化できる40代はやりたいことをたくさん持っている。だから常に人生を楽しむことに忙しく、新規のチャレンジに急いでいる。

一方で変化できなくなる人は40代に限らず、人生をかけてやりたいことが特にない。やりたいことがないから彼らは消去法的に「最も合理的な選択肢」を好み、常にコスパを考える。だが、本来人間は感情の生き物であり本当に欲しいものはコスパや合理性なんて考えずに夢中になるものだ。たとえば本気で恋愛をしたら、相手のスペックなんてどうでもよくなる。

コスパ至上主義はコスパを重視し、行動力を犠牲にしてきたので人生経験が浅くなる。そのため、「やりたいこと、欲しいものはなにもない。せめて数ある選択肢の中で最も合理的なものを選ぶことでこの場だけは満足したい」と考える。そうなると「変化しないこと」が最も省エネで最も合理的な選択肢となる。

だが変化できる40代は常に新しいことをしている。やりたいことが無限大に湧いてくる。筆者もやりたいことが多すぎて毎日大変忙しい。仕事もまったく新規のチャレンジを続けているので、失敗と試行錯誤の連続で毎日が運動会のようである。

こうなると変化しないことに強い不安を覚える。「最近の自分は行動力がなくなってしまってないか?」と自問自答を続けて、残りの人生の健康寿命から逆算して今すぐ動くようにしている。

制約をクリエイティブに変える

40代となると独身20代とは違って数多くの制約に縛られる。家庭持ちなら子供を軸に人生戦略を考える(これは否定的ではなく肯定的な意味だ)し、どうしても気力体力行動力は20代より落ちる傾向にある。仕事も責任あるポジションに付くと、毎日毎日が真剣勝負だ。

変化できない人はこうした制約を「もう年だから」と言い訳に使う。一方で変化できる人は「クリエイティブ」に変える。筆者は後者を心がけている。

たとえば時間がどうしてもない場合は家事代行サービスを頼めばいいという発想になる。昔は「家事代行サービスなんて大富豪のみに許された贅沢品」という感覚があったが、実際に使ってみると水回りの大掃除や庭の剪定など大変骨の折れる仕事と莫大な時間を節約でき、リターンがコストを大きく上回ると気付いた。浮いた時間で新しい挑戦ができる。

また、昔に比べてたくさん食べられなくなってしまったことで、「ではせっかく口に入るものならトコトン質にこだわろう」という感覚で量より質にこだわってグルメを楽しみ、次々と新しい店を開拓する。

人生は何歳からでも変えられる。人生の変化に「◯歳未満禁止」というルールはない。もとい、子供の頃の方が社会のレールや規範を押し付けられる事が多く、自分にとっては変化しづらい窮屈なものだった。だが成人し、そして独立してからは人生が急に目の前が開けて足首のオモリが取れた感覚になった。

40代はまだまだ人生を変えていける時間が残っている。今すぐ変化に向けて行動するべきだろう。

 

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。