wakashi1515/iStock
年金などに不安があり、一念発起して新しいチャレンジをする50代が増えています。内閣府の調査では起業年齢は50代以上のシニア層が多く、2017年から2022年にかけては業種を問わずシェアが高まっている傾向が散見されます。
「50歳からの起業はマインドが9割 稼げるココロの法則39」(高橋貴子 著)産業能率大学出版部
AI時代の講座開発で差をつける方法
「また同じような講座を開催してしまった」「他の教室との違いが出せない」そんな悩みを抱える教室運営者の方は少なくありません。しかし、ChatGPTという強力なツールを活用することで、この状況を劇的に変えることができると著者は言います。
現代の教室運営は、かつてないほど競争が激化しています。コロナ禍を経てオンライン講座が一般化し、全国の教室が競合相手となりました。さらに、受講者のニーズは多様化し、単発的な流行から健康志向、スキルアップまで幅広い要求に応える必要があります。
このような環境下で、従来の「勘と経験」だけに頼った講座開発では限界があります。市場調査、競合分析、カリキュラム設計まで、すべてを一人で行うのは現実的ではありません。ここでChatGPTが威力を発揮するのです。
例えば、「健康志向の高まり」「オンライン需要の増加」といった市場トレンドを把握するために、これまでは数日かけてインターネット記事を読み漁ったり、業界レポートを購入したりする必要がありました。
しかし、ChatGPTなら「現在の教室業界のトレンドは何ですか?」と質問するだけで、主要なトレンドを瞬時に整理してくれます。
さらに、競合他社の分析も効率的に行えます。「料理教室で人気の講座内容」「フィットネス教室の差別化ポイント」など、具体的な質問を投げかけることで、業界全体の動向を俯瞰できます。これにより、自社の立ち位置を客観的に把握し、戦略的な講座開発が可能になります。
アイデア創出から実行まで一気通貫
最も価値があるのは、ChatGPTが単なる情報収集ツールではなく、創造的なパートナーとして機能することです。「50代女性向けの健康料理講座」というテーマを与えると、「発酵食品を使った腸活レシピ」「血糖値を意識した低カロリー料理」「更年期をサポートする栄養学講座」など、複数の切り口を提案してくれます。
さらに、選択したアイデアの具体化も支援してくれます。「発酵食品講座の6回シリーズのカリキュラムを作って」と依頼すれば、第1回「発酵の基礎知識」から最終回「オリジナル発酵食品作り」まで、体系的なプログラムを設計してくれます。
ChatGPTを効果的に活用している教室には共通点があります。それは、AIを「代替手段」ではなく「増強ツール」として位置づけていることです。人間の経験や直感、地域性への理解といった要素は残しつつ、データ収集や分析、アイデア出しの部分をAIに任せることで、より高度な戦略立案に時間を割いています。
また、ChatGPTの回答をそのまま使用するのではなく、自社の特色や受講者の声を織り交ぜてカスタマイズしている点も重要です。AIが提案する「型」を基に、オリジナリティを加えることで、他では受けられない独自の価値を創造しているのです。
ChatGPTは24時間365日、あなたの創造的なパートナーとして待機しています。「もしもあなたが新しい講座を作るとしたら、まず何から始めますか?」という問いかけから、教室運営の新しい可能性を探ってみてはいかがでしょうか。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
■
22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)