8月1日に発表されたアメリカの雇用統計を受けて、労働市場の減速懸念が広がり、ニューヨーク外国為替市場ではドル売り円買いが急速に進みました。円相場は一時1ドル=147円台前半まで円高が進み、統計発表前の150円台半ばから3円以上の円高となりました。
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7月の非農業部門の雇用者数の増加が市場予想を下回り、さらに5月と6月の雇用者数も大幅に下方修正されたことで、堅調とされていたアメリカの雇用情勢に疑念が生じました。
この影響は株式市場にも及び、ダウ平均株価は一時790ドル超の下落、終値でも前日比542ドル安となりました。
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市場では、雇用統計の内容により、アメリカ経済の底堅さに対する信頼が揺らぎ、FRBが9月に利下げに踏み切るとの観測が急速に高まりました。
トランプ大統領 ホワイトハウスXより
また、この統計をめぐってトランプ前大統領が強く反発し、労働統計局長を「政治的操作だ」として解任する指示を出しました。
これについては、統計の信頼性を損なう行為であるとして、エコノミストの間から批判の声が上がっています。
一方で、近年のアメリカの雇用統計は発表後の大幅な修正が続いており、統計の精度自体にも疑念が持たれてきました。
統計の信頼性が損なわれれば、市場は政策判断の拠り所を失い、例えばインフレ指標への不信感が高まることで、インフレ期待の制御が困難になるといったリスクもあります。
公的統計の重要性と、政府の干渉を排した中立性の維持、そして人員・予算面での強化の必要性が改めて問われています。アメリカの統計も中国同様に「信頼できない」と見なされる恐れがあります。