「マッチョ採用」は理にかなった人材獲得戦略

名古屋にある介護ビジネスを展開するビジョナリーという会社は2018年から「マッチョ採用」を始め、直近までの売り上げが10倍に急成長したそうです(写真は同社のホームページから)。

採用するだけではなく、入社後もジム利用料やプロテイン購入費用を補助するなど会社がマッチョなサポートをしているそうです。

確かに介護の仕事は体を使う仕事も多く、筋肉を鍛えた人にはピッタリの仕事です。

しかし「マッチョ採用」はマッチョ介護士だけではなく、他の業界でも採用戦略として理にかなっていると思います。

まずマッチョな人は体が大きいので目立ちます。誰でもブヨブヨのだらしない体型の人より、引き締まった逆三角形の方に好感を持ちます。世の中には筋肉好きな人は意外に多く顔や名前を覚えてもらいやすいのです。

つまりマッチョは営業の仕事に大きなメリットがあります。

また、筋トレは継続してトレーニングを繰り返さないと結果が出ません。負荷をかけて行うトレーニングは結構辛いものです。

食事制限も必要です。良質なタンパク質を摂取して、脂質と糖質をコントロールする。お酒も控えなければなりません。

つまり、マッチョな人は誰もがサボりたくなるような苦行を反復して繰り返せる高い精神力があるということです。ストイックな性格で真面目に続ける能力に長けています。

そして筋肉を鍛えている人は闇雲にトレーニングしているわけではありません。栄養学を学び、骨格や筋肉の知識を使って、効果的なトレーニング方法を研究しています。

科学的・論理的な思考が必要で、おバカな人はマッチョになれないのです。

ビジョナリーという会社はこのように優秀なマッチョ人材を確保するだけではなく、それによってユニークな会社として知名度を上げることにも成功しています。会社のキャッチフレーズは「日本一マッチョが多い介護の会社」で、何とも気になります。

とても良く考えられた人材獲得戦略です。

今後は海外展開も行っていくようですが、海外では日本以上に筋トレが盛んな国があります。同じ戦略で事業展開すれば日本以上に大きな成果が得られる可能性があると思います。

ただ、オフィスにいる社員がマッチョだらけで、休憩時間に筋肉談義で盛り上がっている会社は何だかちょっと暑苦しそうです(笑)。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年8月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。