不動産会社を経営する友人の予約で、業界の経営者6人で大井町にある和食の名店まき村さんにお邪魔しました。今回は季節の鮎を使ったお料理が最高でした(写真は土鍋で炊いた鮎ご飯)。
以前ミシュラン三つ星スタンプラリーと称して、当時のミシュランガイド東京の三つ星レストラン12店を制覇した時にもまき村さんに伺いましたが、今はもう三つ星ではありません。
といっても評価が下がって三ツ星から陥落したのではありません。お店の方から自主的にミシュランに三つ星を返上したというのが真相のようです。
ミシュラン三ツ星を獲得するのは、多くの料理人の夢だと思います。
「三ツ星レストラン」として認知されることは、自分の料理が専門家に高く評価されただけではなく、営業面においても計り知れないプラスの効果があります。世界中から注目を浴びて認知度が一気に高まり人気化します。
一方で、弊害もあります。ミシュラン掲載店ということで予約が世界から殺到し予約が取れなくなり、それまでと客層が変わってしまうのです。
インバウンド観光客が増えている日本ではミシュランガイドを見て、レストランを選択する外国人が多数来日します。
外国人客の方が客単価を上げることができるかもしれません。しかし多くは一見客であり通い続ける常連客の予約枠を侵食してしまいます。また、無断キャンセルの問題も発生しています。
まき村さんがミシュラン三つ星を返上した本当の理由はわかりません。私が想像するに古くから通っている常連さんを大切にしたいという想いからでは無いでしょうか?
こちらのご主人は商人気質というより職人気質。誠実な接客と緻密な仕事ぶりで、お人柄を慕って多くのファンがわざわざやってくるお店です。
有名店になってメディアに取り上げられるようなお店になるよりも、長年通ってくれるお客様を大切にして自分の好きなお店を続けていきたい。
そんなお店の職人魂を感じました。
インスタ映えを狙うような気を衒った料理ではなく、しみじみと美味しい素晴らしいお料理をまた味わいたいと思えます。価格も安くはありませんが、クオリティを考えれば極めて良心的です。
ミシュラン三つ星スタンプラリーで行った和食店のうち今も通うのはまき村さんともう一店だけになってしまいました。
予約が取れる限りこれからも通い続けたいと思います。
Baris-Ozer/iStock
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年8月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。