「ポイ活星人」とユーチューバーの共通点

私が愛用しているアメリカンエキスプレスのマリオットボンヴォイカードのサービス内容が大幅に変更されました。

サイトでは「生まれ変わる」と表示していますが、実際はサービス内容の改悪です。今回の変更によってメリットのある利用者はあまり多くはありません。

年会費が値上げされ、無料宿泊特典が得られる最低利用金額も引き上げられ、事業用決済のポイントのカウントも排除されることになりました。

クレジットカードのポイントに関しては、最近「ポイ活」と呼ばれるポイント獲得を目的にした小技を駆使する人たちが増えています。

ポイント獲得のために時間や手間を犠牲にすることを厭わない人は「ポイ活星人」と呼ばれています。

ポイ活星人が本来のクレジットカード利用とはかけ離れた利用を行い、それをクレジットカード会社が問題視していることが今回の改悪の背景にあると思われます。

今回の変更によって「ポイ活星人」を排除して、本来の利用対象である旅行、ショッピング、飲食といったシーンで多額の利用をする優良顧客を囲い込む動きです。

ポイ活は制度の歪みを使った錬金術のようなものですが、歪みに気がつく人が増えると今回のようにクレジットカード会社側が対策を講じるいたちごっこになつています。

ポイ活を生活の糧にしている人もいるようですが、ルールがいつ変更されるのかは分からず、ポイ活を当てにして生活設計するのは危険です。

これはユーチューバーと呼ばれる動画配信をしている人たちと似ています。

ユーチューバーが配信した動画コンテンツから得られる報酬の計算方法はプラットフォーム側が決定します。またコンテンツが表示されるアルゴリズムも同じです。

活動しているユーチューバーはそのルールを受け入れるしかなく、突然のルール変更で報酬が激減することもあり得ます。

「ポイ活星人」とユーチューバーの共通点はどちらも他者に依存せざるを得ないので、突然の環境変化に対応できないということです。

今後アメリカンエキスプレスのマリオットボンヴォイカードだけではなく、他のカードにもサービス変更が広がりそうです。それによってポイ活のメリットが更に封じ込まれることになるでしょう。

Chikuwabubu/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年8月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。