米世論調査機関ギャラップが7月7日から21日の期間、成人1002人に電話で質問したところによると、今年5月8日、米国人初のローマ教皇に選出されたレオ14世(本名ロバート・フランシス・プレボスト)が著名人14人(ニュースメーカー)の中で米国人の間で最も好意的なイメージを持たれており、好意的な評価が否定的な評価をはるかに上回っていることが明らかになった。
米国人から愛される新教皇レオ14世、バチカンニュースから、撮影イタリア通信ANSA
ギャラップ調査によると、レオ14世は米国で圧倒的な人気を誇る著名人だ。好意的な評価は57%、否定的な評価は11%で、純好意度(好意的評価と否定的な評価の差)は+46となり、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領(+18)や米国のバーニー・サンダース上院議員(+11)を大きく上回っている。
また、フランスのマクロン大統領は、支持率と不支持率がほぼ同率(-1)。その他の人物は支持率の下限を下回っており、総じて好意的ではない。保健福祉長官ロバート・F・ケネディ・ジュニア(-5)、トランプ大統領(-16)、イスラエルのネタニヤフ首相(-23)、バイデン氏(-11)、J・D・バンス副大統領(-11)、カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム氏(-11)、ピート・ヘグゼス国防長官(-12)、マルコ・ルビオ国務長官(-16)、そして人気度スケールの最下位にはテクノロジー界の大富豪イーロン・マスク(-28)だ。
トランプ政権の現職および元職の高官に対する好感度は、1月以降低下している。これには、トランプ氏、バンス氏、ケネディ氏、ルビオ氏、そして2か月前に政府効率化局長を辞任し、それ以来政策や個人的な問題でトランプ氏と対立したマスク氏が含まれる。トランプ政権高官の中で、イメージの低下が最も顕著なのはマスク氏とルビオ氏だ。
ギャラップ社によると、レオ14世は全ての政党グループにおいて、肯定的な評価が否定的な評価を上回った唯一の人物であり、民主党支持者の方が共和党支持者よりも好意的な評価を寄せている。
レオ14世に否定的な評価を下したアメリカ人は比較的少なく(11%)、残りのアメリカ人は彼について意見を形成できるほど十分に知らない(18%)か、聞いたことがない(13%)と回答している。
レオ14世の数字は、2013年にフランシスコ1世が就任した際の教皇の支持率や、2005年にベネディクト16世が就任した際の支持率とほぼ同等だ。3人の教皇はいずれも、当初の評価において米国のカトリック教徒から平均以上の支持を得ている(レオ14世76%、フランシスコ80%、ベネディクト16世67%)。
レオ14世が歴代教皇と異なる点は、リベラル派の支持率が保守派より多いことだ。一方、ベネディクト16世とフランシスコ1世は、それぞれ2005年と2013年の教皇就任当初は、リベラル派よりも保守派から好意的に見られていた。一方、フランシスコ1世は、保守派からの人気が時とともに低下し、2023年12月にギャラップが行った最終世論調査では、リベラル派(70%)が保守派(42%)を大きく上回り、現在のレオ14世の支持率とほぼ同等となっている。
【結論】(Bottom Line)
レオ14世は米国で幅広い支持を得ており、党派色が強く、イメージが二極化しやすい著名人とは一線を画している。共和党や保守派よりも民主党やリベラル派から高い評価を得ている。晩年のフランシスコ教皇のイメージとの類似性を考えると、これはアメリカ人がレオ14世をフランシスコの宗教的・社会問題へのアプローチを継承していると認識しているか、あるいは、そうでないことが証明されるまでそうであると想定していることを示しているのかもしれない。一方、1月以降、トランプ政権の主要人物に対する好感度が低下していることは、同時期のトランプ氏の支持率の低下とほぼ一致している。しかし、マスク氏とルビオ氏の好感度の低下は、トランプ氏、バンス氏、ケネディ氏よりも顕著だ。
【解説】
欧州の著名な神学者パウル・ズーレナー氏は8日、オーストリア放送協会(ORF)の情報番組で、「レオ14世はローマ・カトリック教会の最高責任者としてまだハネムーン期間にある。実際、同14世を批判する論評はほとんどない。すなわち、レオ14世は敵とまだ対峙していないのだ。レオ14世が教会刷新(シノドス)に本格的に乗り出し、厳しい決断を迫られるならば、レオ14世の眼前に敵が姿を現すだろう。それまではレオ14世の米国人の好感度に変化はないだろう」と分析している。ギャラップ調査で興味深い点は、レオ14世は歴代教皇とは異なり、リベラル派の支持率が保守派のそれより多いことだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年8月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。