みずほ銀行は、保険業界で相次いだ顧客情報漏えい問題を受け、2026年3月末までに保険会社からの出向者受け入れを廃止する方向で検討しています。
既に保険会社と協議に入り、出向者を全員出向元に戻した上で新規受け入れをやめる方針です。保険会社からの出向者は主に保険商品の販売に携わっており、みずほ銀行では大手生保からの数十人の出向者が対象となるとのことです。
winhorse/iStock
背景には、損保・生保各社による保険契約情報の不正入手問題があります。今年7月には、日本生命の社員が三菱UFJ銀行出向中に内部情報を無断持ち出し営業利用していたことが発覚し、金融庁は報告徴求命令を出しました。調査開始後に関連フォルダーが削除された可能性もありますが、復元可能とされています。
三菱UFJ銀行も2025年5月時点で生保からの出向受け入れを原則廃止する方針を決定していました。出向元の保険会社側でも営業目的の出向をやめる方針が出ており、日本生命や第一生命HD傘下の生保が対象です。三菱UFJ銀行では出向者の多くが販売や営業に直接関与しており、今後は出向元へ戻すか、転籍させる方向で調整しています。
損害保険大手4社は、保険代理店への出向者を約1600人から約450人へと7割削減しています。個人情報漏えいなどの不祥事を受け、金融庁から業務改善命令が出されていました。今後も新規出向を停止し削減を続ける方針です。
これは銀行と保険会社の関係が近すぎるとの懸念に対応したものといえます。出向者が評価制度に影響を与え、接待や贈答など不適切な働きかけがあった可能性も指摘されています。
今回の問題の背景には、両社に共通するコンプライアンス意識の低下があるといえそうですが、形骸化を是正することはできるでしょうか。
なお、大手生命保険4社の国内債券の含み損が、2025年6月末時点で合計9兆8,381億円となり、3月末から1兆2,930億円増加しています。保険会社が保有する超長期国債の利回り急上昇による価格下落が主な要因ですが、保険業界も変化の時期を迎えているようです。