日本の漁業は今、かつてない危機に直面しています。1984年に1282万トンあった漁獲量は、2024年には363万トンと3分の1以下にまで落ち込みました。専門家はこのままでは2050年頃には漁が成り立たなくなる可能性すらあると警鐘を鳴らします。
参照:25年後、日本に魚がいなくなる?国内漁業の危機的状況に専門家が警鐘「資源管理ができてない」「補助金で休んでもらった方が漁業は復活する」40年間で漁獲量は1/3に激減 ABEMA Prime
世界では養殖や厳格な資源管理で漁業を持続させていますが、日本は乱獲や養殖の停滞で大きく出遅れています。北欧や北米では、資源を守るために漁獲量を厳しく制限していますが、日本の規制は枠が高すぎて実質的に機能していません。その結果、小魚まで大量に獲られ、資源が枯渇してしまいました。
参照:日本の海水温上昇幅は世界の2倍 逃げるサンマやイカ、漁獲10分の1 日経新聞
上述の専門家は、資源を回復させるには漁獲を一時的に減らし、船の数を減らしたり、漁業者の転職を支援するなどして産業規模を見直す必要があると指摘しています。
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しかし、日本では水産資源の管理が科学的根拠に基づかず、養殖も低迷したままです。広大な排他的経済水域を持ちながら、漁業生産量は韓国やノルウェーに抜かれてしまいました。
加えて、温暖化や外国船の密漁が原因とされることもありますが、実際には零細漁師による乱獲が大きな要因です。漁協や政治家、役人の利害関係が絡み合い、必要な規制が進まないまま、資源は減り続けています。
サンマやスルメイカなどの資源状態は悪化しており、漁獲量の減少は回遊ルートの変化ではなく資源そのものの減少と直結しています。
瀬戸内海などでは稚魚の乱獲が特に深刻で、漁獲量の個別割り当て制度がないために「早い者勝ち」の乱獲が続いています。
このままでは日本人が日本の海産物を食べられなくなる未来が訪れるかもしれません。持続可能な漁業を取り戻すには、ノルウェーのように漁獲枠を科学的に設定し、社会全体で資源を守る仕組みをつくることが急務です。