S&P 500は短い週足上ヒゲを引きつつも、続伸してミニ雇用統計ショック前の過去最高値を更新している。上値ではちょいちょいイベントヘッジも兼ねた利食い優勢となる場面もあったものの、火曜8/12にPIを無事に通過したことで指数は一気に上値余地を広げる。
木曜8/14のPPIでは逆にサービスインフレが目立ったことで恐らくいつも通り事前ヘッジがあまり入っていないことで時間外は下落したが、いざ寄り付くと何となく0DTE勢による安値拾いに見えるチャートとなりフラットで引ける。金曜8/15はOp Exであり、高寄りからの利食い優勢となった。
先週の記事では「今週はCPI、PPI、小売りとマクロの週であり、よければアンチ・ゴルディロックス気味、悪ければ雇用統計を蒸し返しやすくなるため、イベントを跨ぐのはオッズが悪いように見えるし、またそう見えるからイベント前にはヘッジが出る可能性もあるものの、指標がない時間帯はじり高が続きそうな雰囲気である。イベント自体も、1日2%以上の下落を招いたら続落トリガーを引く可能性が高いが、そうでなければ――雇用統計ですらそうだったように――多少の下げは買戻しのきっかけになりやすそうに見える」としていたが、顕微鏡で見ればちょいちょいそんな感じだったものの、総じてあまりにも動かないので知っても仕方がない形となった。
GS CTAは米株の最高値更新を受けて再び高値追いを始めた。もっともCTAのポジショニングはグローバル株式で96パーセンタイル、S&P 500で97パーセンタイルと既に過去対比でかなりピークに近い。
DBのポジショニングでもシステマティック勢が87%、裁量勢も2週間前の30パーセンタイルから47パーセンタイルまで急速に装填された。ミニ雇用統計ショックは裁量勢の機関投資家にとっても貴重な押し目になったようである。
BofAも雇用統計後の週は機関投資家の大規模な買いを観測した。
野村のVolコントロールのエクスポージャーも96%と、どれもその辺に集中している。
BofAのディーラーガンマは非常に強気なものとなっており、上値全体でネガティブガンマ(上方手当不足=ショートカバーの必要性)となっているのに対し、6200台の山がサポートとして健在という非対称的なものとなった。
その小さな山を除くと上も下も概してネガティブガンマなのが興味深いが、にしてはとにかく動かなすぎである。Op Ex通過で上値のネガティブガンマも一部が失効を迎えると思われ、従ってOp Ex通過と共にショートカバーニーズは減衰する可能性があり、実際金曜8/15に既にその兆候が見られた。
NAAIMは買い戻した後にすぐまた慎重になっており、なかなか総楽観まではまだ距離がある。
インサイダーは売り止めが続く。
決算期は後半戦に差し掛かっており、今週は小売が目立つ。自社株買いブラックアウトはほとんど明けた。季節性最悪の8月前半も通過した。経済指標は大したことがない。ジャクソンホールで例年通りなら金曜8/22日本時間23時にパウエルが講演を行う。
テクニカル。過去最高値を更新したことで、ミニ雇用統計ショック時に思い描いていた日足ヘッドアンドショルダーを形成する可能性がなくなった。さすがに妄想が過ぎたようである。
6200は引続き薄いサポートとしてワークし続ける。テクニカルにはOp Exショートカバーピーク説はまだベットする価値が残っており、上値追いの前には一呼吸を置きたいところであるが、決算がよい上で利下げを控えている中、短期的には6200より上では基本的には押し目買いが優勢になりそうである。
もっとも9月もまた季節性が弱く、そこに機械勢がお腹一杯、ディーラーがネガティブガンマ気味で突っ込むことになると思われるため、上値追いは8月中に一度緩めないと後に下を叩くことになる可能性も残る。
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編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年8月18日の記事を転載させていただきました。