8月22日、FBI捜査官がメリーランド州ベセスダにあるジョン・ボルトン元国家安全保障補佐官の自宅を家宅捜索しました。さらに同日午前、ワシントンD.C.のオフィスにも捜査官が向かいましたが、令状が発行されるまでの数時間は立ち入りを控えていたと報じられています。今回の捜査は、ボルトン氏がホワイトハウス在任中に「極めて機密性の高い」文書を私的なメールサーバー経由で家族に送信していた疑惑に関するものです。
カシュ・パテルのFBIが、ジョン・ボルトンの自宅とオフィスを家宅捜索、家族に機密文書を送った疑惑で捜査。今日の表紙はこちらで読めます:trib.al/znESjph
FBI長官カシュ・パテル氏は、X(旧Twitter)にて「誰も法の上にはいない…FBI捜査官は任務遂行中」と投稿し、強い姿勢を示しました。
誰も法の上にはいない…FBI捜査官は任務遂行中
一方、JD・ヴァンス副大統領は「現在は捜査の初期段階にあり、ボルトン氏が違法行為を行ったと判断されれば、当然ながら起訴に至る可能性がある」と述べ、政治的動機による捜査ではないと強調しています。
JDヴァンス:「我々はジョン・ボルトンに対する進行中の調査の非常に初期段階にあります…もしボルトン大使が犯罪を犯したと我々が考えれば、もちろん最終的には訴追が行われるでしょう…ボルトン大使に対する広範な懸念があります。」
しかし、今回の捜査は単なる法執行以上の意味を持つ可能性があります。トランプ大統領は再選キャンペーン中から「政敵への報復」を公然と掲げており、かつての側近でありながら政権批判を続けてきたボルトン氏に対するFBIの動きは、その延長線上にあると見る向きもあります。特に、ボルトン氏がロシア政策を巡ってトランプ氏を批判した直後の捜査開始は、タイミング的にも注目されています。
さらに、ボルトン氏はトランプ政権から「ディープ・ステート(影の政府)」の一員と名指しされていたこともあり、今回の捜査が政治的な意図を含んでいるのではないかとの疑念も根強くあります。
FBIは、ジョン・ボルトンがトランプのロシア対応を批判して彼を怒らせた数日後に、ボルトンの家を捜索しています。トランプは選挙運動中に批判者に対する「報復」を誓い、カシュ・パテルはボルトンを「ディープステート」の人物リストに含めました。
一方で、米国の機密情報管理制度そのものにも問題があるとの指摘もあります。ボルトン氏が同情を集める人物ではないにせよ、過剰な機密指定が恣意的な捜査や起訴を可能にしてしまう構造が、国家安全保障を逆に脅かしているとの批判も出ています。
ジョン・ボルトンは最も同情を引く人物ではありませんが、彼に対する調査は、過剰な機密指定のシステムが生み出したものであり、選択的訴追の機会を作り出し、米国の国家安全保障を損なっています。
今回のFBIによる家宅捜索は、法の執行と政治的報復の境界線をめぐる議論を再燃させる可能性があり、今後の展開が注目されます。
トランプ大統領とボルトン氏 2018年12月 Wikipediaより