トランプ前大統領が進める経済政策の中で、特に注目を集めているのが「国家資本主義」とも言える手法です。近年、アメリカ政府が直接、あるいは間接的に民間企業に関与する動きが強まっており、それは特に半導体やハイテク分野において顕著です。
たとえば、インテルに対する株式取得は、従来の自由市場原理から一歩踏み込んだ動きとして注目されています。これにより、政府が企業の意思決定に一定の影響力を持つことになり、国益を前面に押し出した産業戦略が展開されつつあります。
国家資本主義とは、政府が戦略的に重要な産業に対して資本や政策支援を通じて直接関与する経済モデルを指します。従来は中国などの新興国で見られる手法でしたが、アメリカでもその傾向が見られるようになっています。
具体的な例としては、日本製鉄が米USスチールを買収する見返りとして、アメリカ政府が“ゴールデンシェア”を取得し、一定の発言権を得たことが挙げられます。
また、トランプ氏はNVIDIAやAMDとの間で、中国への半導体輸出を認める代わりに、政府が売上の15%を取得するという取引を行いました。こうした取引は、国家が市場に直接介入し、戦略的優位性を確保しようとする姿勢の表れと言えます。
さらに、Appleがアメリカ国内のレアアース供給業者に5億ドルを投資する決定も、国内供給網の強化を意図したものであり、政府の方針に沿った動きと見ることができます。
Appleは、MP Materialsから5億ドルのレアアース磁石を購入すると発表しました。これは、トランプ政権がAppleにそのようなことを圧力をかけている時期に、Appleの米国サプライチェーンを拡大するものです
こうした国家主導の産業戦略は、短期的には雇用の創出や国内製造業の強化に寄与する可能性がありますが、長期的には市場の健全性や企業の自律性への影響も懸念されています。
新しいワシントン・ポスト社説:インテルとの取引は間違いだ。中国を打ち負かすために中国の真似をするのはダメだ。
トランプ流の国家資本主義は、テック企業の国内回帰を促進する有力な手段となるのか、それとも市場の歪みを招くリスクを孕むのか。今後の動向に注目が集まります。
トランプ大統領 ホワイトハウスXより