今回、賛成を投じた議員には非公認などの様々な処分が下るらしい。
いやいや、小泉純一郎の郵政解散と同じ? 冗談じゃない。あれとこれを一緒にする奴は、政治を知らない。いや、知ってて言ってるなら、それはそれで性質が悪い。
あの夏の熱狂を忘れたか
小泉純一郎が「自民党をぶっ壊す」と叫んだあの夏。郵政民営化に反対した議員に、次々と「刺客」が送り込まれた。
野田聖子、今や総務大臣だが、当時は佐藤ゆかりを刺客として送り込まれた。亀井静香には、まさかの堀江貴文。今思えばムチャクチャだが、あの時は「アリ」だった。なぜか。
簡単だ。小泉は「郵政民営化、是か非か」という明確な争点を作った。そして国民に聞いた。「どっちだ?」と。結果は圧勝。296議席。文句なしの信任だった。
刺客を送られた議員たちも、ある意味では本望だったはずだ。少なくとも、政策で勝負できた。郵政民営化反対を貫いて、有権者の審判を仰いだ。綿貫民輔なんて、富山で敗れたが、最後まで筋を通した。あれは政治家の矜持だった(結果的に比例復活したけど)。
翻って石破茂。総裁選に出るな、俺を支持しない奴は公認しない、役職も剥奪だ――ちょっと待て。まだ総裁選すら告示されてないじゃないか。というか、何の政策対立? 石破ビジョンって何? 「デジタル田園都市」? それ岸田が言ってたやつと何が違うの?
要するに、だ。石破がやってるのは「俺に逆らうな」という恫喝。それ以上でも以下でもない。政策なんて関係ない。ビジョンもクソもない。ただ単に、権力にしがみつきたいだけ。
昔、田中角栄という政治家がいた。金権政治の権化と言われたが、少なくとも「日本列島改造論」という夢があった。カネをバラまいたが、地方に新幹線を通し、高速道路を作った。功罪はある。でも、夢はあった。
石破に夢はあるか? ない。あるのは権力への執着だけ。違うというなら、言ってみろ。石破が実現したい日本の姿を。「地方創生」? 10年前から言ってるじゃん。で、何か変わった? 鳥取は活性化した? してないでしょ。
恐怖政治の末路
歴史を見ろ。恐怖で支配した政権で、長続きしたものがあるか? スターリン? 死んだ途端に批判された。毛沢東? 文化大革命は今や黒歴史。
石破も同じだ。公認や役職で脅して、一時的に従わせることはできる。でも、人の心は買えない。恨みは蓄積する。そして必ず、爆発する。
どうすればいいのか?正直、わからん。
いや、本当はわかってる。簡単だ。石破が「俺は総裁選で正々堂々と戦う。批判も反対も受けて立つ」と言えばいい。それだけ。でも、できない。なぜか? 負けるから。自信がないから。
だから締め付ける。脅す。これを独裁という。大げさ? いや、これが独裁の始まりだ。最初は小さな締め付け。次は中くらい。気づいたら、誰も何も言えない。それが独裁。
でもね、一つだけ希望がある。日本人は、意外としぶとい。表向き従っても、腹の中では違うこと考えてる。そして選挙がある。石破がいくら脅しても、最後は有権者が決める。
結局、何が言いたいかって
小泉は、少なくとも戦った。郵政民営化という旗を掲げ、反対派と戦い、国民に信を問うた。好き嫌いはある。でも、政治家としては立派だった。
石破は違う。戦ってない。逃げてる。反対派が出る前に潰そうとしてる。これを卑怯という。政治家として最低だ。
まあ、私がいくら吠えても、何も変わらないんだけどね。でも言わずにはいられない。これが今の自民党か、と。情けない。ちなみに、私はかつて自民党員だった。
歴史は繰り返す。恐怖政治は必ず終わる。その時、石破茂という政治家は、どう評価されるか。たぶん、誰も覚えてない。それが一番の皮肉かもしれない。
多くの議員は思っていないか?「こんな男を総裁にしちまった」。そう、それが一番の問題。でも、今更言っても遅い。
ツケは必ず回ってくる。その時、泣くのは国民だ。いつもそうだ。
※ 本記事では、文章の読みやすさを考慮し、敬称略とさせていただきました。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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