石破首相は、自民党内で臨時総裁選を求める動きが強まるなか、対抗策として衆院解散・総選挙を検討しています。しかし実際に解散を実行するには閣僚や公明党の反対が予想され、現実性は乏しいと見られています。
首相が「解散カード」を示す背景には、野党が乱立すれば自公が過半数を回復できるとの試算があり、これを根拠に「総裁選で退陣を迫られるくらいなら解散する」と周囲に語り、党内の牽制に利用しています。
本来野党へのけん制に使われる解散論を自党内に向ける異常事態となっています。
解散に踏み切れば、閣僚全員の署名が必要な閣議決定で反対が出ることは避けられず、公認調整も難航します。石破首相は反対派議員に「刺客」を送る案を検討しているとされますが、短期間で候補者を擁立するのは困難です。
すでに党内では臨時総裁選を求める署名活動が進んでおり、実施は来月4日が有力とされています。首相が解散をちらつかせることで一部の議員の動きを抑え込む狙いはあるものの、現実的に解散は極めて厳しい状況です。
さらに「やりたくはないが、総裁選になるくらいなら解散する」との発言は、自民党総裁としての責任を回避する態度だと受け止められています。野党にとっては石破首相のまま解散に持ち込むことが最良の展開であり、不信任案の提出権を握る立憲民主党がその主導権を持っています。他方、自民党は解散を恐れて総裁選前倒しに踏み切れず、立憲民主党もまた解散を恐れて不信任案を出せないという膠着状態に陥っています。
過去の選挙で石破首相は、旧安倍派を標的にした衆院選で敗北し、参院選でも給付金政策を掲げながら惨敗しましたが、責任を党全体に転嫁してきたと批判されています。今回も「死ぬときは一緒だ」とばかりに解散をちらつかせる姿勢は、自己保身に過ぎないと厳しく非難されています。
さらに石破首相はかつて「7条解散」に否定的で「69条解散に限定すべき」と主張していたにもかかわらず、首相就任後は自らの延命のために自由に解散権を用いようとしており、過去の発言や国民への約束を反故にしたとの批判も強まっています。こうした矛盾や一貫性のなさは、石破首相の政治的信用を大きく損なう結果となっています。
石破首相 首相官邸HPより