「グレートリセット」に備えよ!

20年近いお付き合いがあるユーチューバーの石田和靖さん(写真)のライブ配信に登壇しました。テーマは「グレートリセット」です。こちらからアーカイブをご覧いただけます。

グレートリセットには明確な定義があるわけではありませんが、AIに聞いてみると

グレートリセット(The Great Reset)は、世界経済フォーラム(WEF)で2020年に提唱された国際的なイニシアチブで、主に以下の要素からなります:

COVID-19後の世界経済再建:パンデミック後のより持続可能で強靭な経済システムの構築
持続可能な開発:気候変動対策と環境に優しい経済への移行
第四次産業革命の技術活用:デジタル技術やAIを活用した社会変革
包摂的な成長:経済格差の是正と社会的公平性の促進

と説明されています。

また、SNS上では今まで陰に隠れていたアメリカ中心の資本主義に対抗する力が顕在化することで今までの価値観がガラガラポンすることを指すこともあるようです。

私は後者のようなSNSで話題になっている陰謀論は信用していません。しかし、世界経済フォーラム(WEF)で2020年に提唱された考え方にも少し違和感を感じます。

今回の対談で私が日本人がこれから遭遇するグレートリセットとして伝えたかったことは、これからの世界の経済環境の変化に伴う既存の経済価値の変化です。

1つは法定通貨に対する信認の低下です。

米ドル、ユーロ、日本円といった法定通貨はインフレによってその資産価値をどんどん低下させています。金(ゴールド)の価格が最高値を更新しているのは、金の価格が上がっているのではなく通貨の価値が下がっていると考えるべきなのです。不動産価格の上昇も同じように考えることができます。

各国の金融財政政策は貨幣価値の低下に向けて動いており、中長期的には通貨価値の継続的な下落は避けられません。

そしてもう1つは、下落する法定通貨の中での円の他の法定通貨に対する価値の低下です。

法定通貨の米ドルやユーロのような先進国通貨が下落する中で円の価値はそれらに対して更に低下していくと考えています。

その要因として日本の経済成長率の鈍化、円に滞留している個人金融資産の外貨への流出、企業の海外投資の積極化、日本の財政赤字の拡大による円に対する信認の低下などが考えられます。

私が考えるグレートリセットがいつ顕在化するかはわかりません。しかし、変化が起こってから対応をしても間に合いませんから、変化が顕在化する前に対策を打っておく必要があります。

地震に備えて防災訓練するのと同じように、グレートリセットに備えてグレートリセット訓練をしておくべきだと思っていますが、具体的にどのようなアクションプランを講じるべきかについては、私が主宰する投資家コミュニティ「資産設計実践会」の説明会にお越しください。手を打つなら早くしておいた方が良いと思います。

昨日の石田さんとの対談ではグレートリセット以外にも話題は尽きず、夢中になって話していたらあっという間に1時間以上経ってしまいました。ライブ動画が皆さまの資産運用のお役に立てれば幸いです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年9月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。