CoCo壱番屋のカレーが1,500円でも高くないと思える理由

日経平均が史上最高値を更新し、都心部のマンション価格も昭和のバブル期を超えるレベルまで上昇しています。かつては億ションと呼ばれた高級マンションですが、今や1億円出しても都心のファミリー向けの中古マンションは買えなくなってしまいました。

株も不動産も値上がりして高すぎるという声を聞きますが、過去の価格と比較して高い安いを議論するのは意味がありません。

そもそも物価水準が異なりますし、比較すべきは過去の価格ではなく現在の海外の株価や不動産価格です。

これは投資用の資産だけに当てはまる話ではありません。CoCo壱番屋のカレーを食べていて、株価や不動産価格とと同じことを思いました。

今週出かけたCoCo壱番屋で注文したのは、3辛ほうれん草カレーのハーフチーズ、ハーフ豚しゃぶ、カキフライ2個トッピングです(写真)。ライスを少なめの200グラムにしましたが、それでも会計は約1,500円です。

かつては、1000円以下で食べるのは当たり前だったのが1.5倍から2倍近くに値上がりしていることになります。数年前と比べれば確かに高いとは思いますが、他のファストフードと比べてみると、どれも軒並み値上がりしています。

例えば、今やラーメンも専門店では1,000円以下では食べられなくなっています。

また前日には同じカレーを吉野家でも食べてみました。大久保のカレーの人気店「SPICY CURRY 魯珈」が監修した肉だく牛魯珈カレーは900円でお釣りがくる価格です。

これと比べるとCoCo壱番屋は500円高くなりますが、高いだけの価値をしっかり感じます。

吉野家はレトルトを温めて出すだけですが、CoCo壱番屋は揚げ物などは作り置きしていませんし、ご飯の量や辛さなど細かいカスタマイズができます。そして店内は整理整頓が行き届き清潔感があります。エプロンやトピ辛スパイスも用意され、福神漬けは都度持ってくるシステムです。

サービスレベルを考えれば1500円でも決して高くないと思えてしまうのです。

ちなみに、ニューヨークではラーメン一杯チップ込みで3000円が相場です。ラーメン以外の外食でも似たような価格になっています。

欧米の先進国と比較すれば、CoCo壱番屋はむしろ安いとさえ言えるでしょう。

日本人の多くは、これまで続いてきたデフレを前提とした思考から未だに脱却していません。

気が付かない間に日本にもインフレの波が本格的にやってきています。だからデフレ時代の数年前の価格と比較して、値段を判断するのはやめましょう。

CoCo壱番屋のカレーは、クオリティと現状の経済環境を考えれば1,500円でも決して高くないのです。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年9月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。