自民党総裁選は石破茂首相の辞任を受け、9月22日告示、10月4日投開票で行われます。
市場は財政拡張の可能性を織り込み、株高・円安が進む一方、長期的な財政悪化を警戒しています。
高市早苗前経済安保相は、消費税率0%や国債発行容認など積極財政を掲げ、日銀の利上げに反対しています。9月8日の日本株市場では次期総裁有力との見方から「高市トレード」が活発化し、不動産株が上昇し、銀行株は下落しました。
小泉進次郎農水相は、規制緩和や農政改革を重視し、低所得者への現金給付も支持します。財政規律を意識しつつ日銀の政策正常化を容認しますが、立候補して優勢になれば消費税減税は低く見込まれる一方、結果的に財政拡張的な政策を取るとの見方もあります。
林芳正官房長官は石破路線を継ぐ穏健派で、財政健全化を重視しつつ増税には慎重です。中小企業支援や格差是正を重視し、金融政策は日銀に委ねて安定成長を目指します。4日の会見では「市場の信認を損なわず長期金利の急上昇を防ぐ」と述べ、財政運営の安定を強調しました。
高市氏・小泉氏インスタグラムより
小林鷹之元経済安保相は経済安全保障と投資拡大を優先し、積極財政寄りの姿勢を見せます。現金給付は抑えつつ、消費税減税を検討するとしています。
茂木敏充前幹事長は税収の上振れ分を財源に数兆円規模の生活支援交付金を創設し、3年で所得50万円増を目指します。現金給付には否定的で、金融緩和は段階的正常化を掲げます。
次期総裁選は、消費税や現金給付、金融政策の選択は、次期政権の経済運営と市場の行方を大きく左右することになります。
一方、河野太郎前デジタル相は、政府は財政規律を重視すべきだとして消費税減税に反対する立場を示しています。
ただし、衆参両院で減税を主張する野党が過半数を占め、減税法案を提出すれば自公が反対しても可決される可能性があるため、「結果的に減税せざるを得なくなる」と述べました。そのうえで、減税の実施には時間がかかり来年以降になる見通しであり、実施されれば円安や金利上昇を招き、さらなる物価高につながる恐れがあると警告しています。