パレスチナ。イスラエルと敵対関係であり、その国家承認はアメリカが首を縦に振りません。その中でイスラエルのガザ地区への強硬姿勢に先進国の一部がイスラエルへの警告ともなるパレスチナ国家承認に動き始めています。まず、英国、オーストラリア、カナダが先陣となり、ポルトガル、ルクセンブルグ、フランスがこの後を追いました。ではパレスチナを承認している国が世界にどれぐらいあるかご存じでしょうか?
国連加盟の193か国のうち既に153か国が承認しました。今週の国連総会を通じて、さらに「積み増し」が見込まれています。ではパレスチナを承認していない国は何処か、といえばアメリカ、イスラエルはもとより日本、韓国、ニュージーランド、メキシコ、あとは欧州の主要構成国であるイタリア、スイス、ドイツ、オランダ、ベルギー…などであります。南米、アフリカ、ロシア、中国、中央アジア諸国、中東はほとんど承認済みであります。
岩屋外務大臣が記者会見を開き、パレスチナ承認を見送ると述べています。ただし、「イスラエルが和平への道を閉ざすような行動に出た場合は、新たな対応をとる考えを示しました」(NHK)とあります。個人的には岩屋氏は外務大臣の席にもう長くないかもしれないという前提で今、大きな決断を避け、後任にその判断を委ねるというスタンスに見えます。
岩屋毅外務大臣 自民党HPより
もちろん、新首相の下、組閣において岩屋氏が再び外務大臣に指名されないと断言できるものではありません。ただ、氏はあまりにも不評だったと思います。私の周りから聞こえてくる声も「外務大臣サイテー」「なんであの方が外相なの?」という強烈な非難の声であります。理由はもちろん、中国寄り過ぎで特に「10年ビザ」は非難轟々となりました。それ以上に私には氏が外務大臣としての資質をほとんど持ち合わせていなかったと思っています。逆に言えば石破政権においてお友達の数が限られ、外務大臣という大臣でも極めて特殊な能力と任務が求められる中、人材を選択するほど余裕がなかったのだろうと察しています。よって今後、総裁選立候補者5人のうち、どなたがトップになろうとも岩屋氏が再度外務大臣に指名されることはほぼないと考えています。(いや、希望しております。)
では新首相、新外務大臣はパレスチナを承認するか、であります。個人的にはすべきと思っています。もちろん、新首相の手腕と外交的政策や考え方次第です。ただ、私がその立場ならアメリカの顔色をうかがうばかりではなく、日本が独自の外交色を出せばよいと思っています。
日本の外交はどうあるべきか、私が考える究極的なスタンスは世界中立外交だと思っています。学生時代から外交史を読み漁り、外交にずっと興味を持ち続け、世界の外交を見、日本の外交を見てきました。日本が世界の中でユニークな存在となる一方、平和憲法で国際紛争を望まない国家として独特のスタンスを築いてきました。軍隊がない中でアメリカの傘の下に入るというポリシーの下、アメリカには足を向けて寝られない、という極めて従属的で時として日和見的な外交に「いつまでそれを続けるのだろう?」と疑問を持っていました。
その中で外交に関しては中立的立場を通じてその判断をケースバイケースで行うという日本独自の外交方針に変えてほしいと思うのですが、アメリカを慮るばかり「日本はそれでよいと思っているのか?」とアメリカからにらみつけらえるとしゆんとなってしまうのです。
国家安全保障の問題が総裁選の中でも注目されると思いますが、どなたが総裁になっても日本の国家安全保障の強化は待ったなしであり、それがアメリカから外交的独立への第一歩であると考えています。その上で、日本はアメリカの顔色をうかがうのではなく、日本がパレスチナをどう思うのか、どうしたいのか、独自の見解を出すべきであります。日本がパレスチナを承認したくないという説得力ある十分な理由があるならそれを聞かせてもらいたいと思います。
基本的にはそのような理由はないと考えています。日本は往々にして極端な考え方にぶれやすいと思います。パレスチナを承認したらアメリカとイスラエルとの関係に傷がつくと。私からすればケンカをするほど仲が良い、というぐらいに対話ができる関係を築くことがむしろ先決だろうと思います。
それと日本国内でイスラエルとパレスチナの歴史的関係について理解している人が極めて少なく、世論にどうアプローチするのかすら不明瞭であるという根本的問題を抱えていることも事実です。
故にパレスチナを承認できない、私はそう思っています。国際社会の中でリーダー国の一角である日本としてはちょっと残念であります。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年9月23日の記事より転載させていただきました。