東京都では30年前から想定を上回る人口増加が続いています。2020年までの30年間で約220万人増えていますが、実はその9割が高齢者となっています(図表は日本経済新聞電子版から)。
これは、以前は働き手であった人たちが年齢を重ね高齢者になってしまった一方で、元々東京にいた子育て世代が生活費が安く環境の良い他県に転出するという傾向が影響しているものと思われます。
しかし、仕事をする人たちにとって東京には引き続き強い魅力があります。何といっても仕事がたくさんあって給与水準が高いことがポイントです。家賃や生活費も高くコストもかかりますが、それ以上の収入が期待できるということです。
日本全体では人口減少が深刻な問題になっているのに東京には人口流入が続いているのは仕方ない面もありますが、懸念されるのは過密が進むことによって災害時に対応ができないリスクや不動産価格がさらに上昇して東京に住みたくても住めない人たち増えていくことです。
これを解決するのは簡単ではありません。人を強制的に転居させることはできませんから、問題解決に必要になるのは東京と同じくらい魅力のある街が出現することです。東京一択ではなく他の都市に住むという選択肢が出てくれば人口の平準化が期待できます。
住んだ経験はありませんが、例えば福岡は交通アクセスも良く、東京よりもアジアの他の都市への距離も近い街です。福岡発祥の大手企業も多く食や文化もあって住みやすい街といえます。
東京に対抗するほどの規模に成長することは難しいかもしれませんが、福岡のような都市が他にもいくつかできれば東京からの人の分散化の受け皿として存在感を高めていくことが可能になります。
東京は便利で大好きな街ですが、あまりに巨大になり過ぎで人の数も増えすぎました。新宿や渋谷のような街に行くと平日の昼間でもたくさんの人がいてカフェなどはどこも人で溢れています。
週末はどこも混んでいて出歩くのが億劫になってしまうくらいです。
東京一極集中に抜本的なメスが入るには首都圏直下型地震のような天災が発生して、集中のリスクとデメリットについて真剣に考える人が増えるまで待たなければならないのかもしれません。
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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年9月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。