女性役員30%目標の危うさ:数値目標が生む“女性役員バブル”

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日本政府は本当にアホで、「女性役員比率を2030年までに東証プライム市場の上場企業で30%にする」という目標を掲げました。

しかし「女性」という数値目標を先行して掲げると、実力の伴わない人材が役員に就く恐れがあります。現に形式的な登用が横行し、取締役会の機能の形骸化も見え始めています。

女性役員の人材は決して潤沢ではなく、複数企業を兼任する例が増えています。特に数値目標が掲げられて以降、兼任の傾向は顕著に見られます。例えば元アナウンサーの福島敦子氏や菊間千乃氏はそれぞれ4社を兼任していて、各社の経営にどこまで深く関与できるのか、疑問視する声も少なくありません。

更に、榎本加奈子氏(元女優・ABCマート)、中野美奈子氏(元アナウンサー・四電工)、酒井美紀氏(女優・不二家)、高橋尚子氏(元マラソン選手・スズキ)なども登用されています。無論そのキャリアは立派ですが、経営に携わっていた訳ではなく、元々いた業界とほぼ関係ない業界の企業の役員に就いています。

取締役会とは、会社の意思決定を行う最高機関です。故に性別ではなく、実力で選ばれるべきなのです。女性役員の数値目標を掲げる政府もアホ、それを推進する東証もアホ、有名人をキャバ嬢代わりに役員会に置く企業経営者もアホ、みんなアホです。コーポレートガバナンスの意義を理解していません。

外部の女性を社外取締役に安易に起用すれば、生え抜きで頑張る女性のモチベーションにも悪影響を及ぼします。本当に愚策で、見直すべきでしょう。

では個人投資家目線では、どのように企業の健全性を見定められますか?この考察は過去のnoteで書いているのでご覧下さい。

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(編集部より)この記事は、ちゃん社長(@Malaysiachansan)のポストから転載させていただきました。