これから金(ゴールド)を買うのは「あり」か?

日本経済新聞電子版によれば、今年に入ってからの投資商品の上昇率は、金、プラチナ、銀などの貴金属が上位に入り、株式や暗号資産等の上昇率を超えています(図表も同紙から)。

その中でも投資対象として人気の高い金の価格が上昇している背景には、インフレと米ドルをはじめとする法定通貨に対する不信感があります。そして地政学リスクの高まりから逃避資産としての魅力が高まっている状態です。

金価格はマーケットの需給によって決まりますから、これからどうなるか確実なことは言えません。しかし、現状の金価格の上昇要因は今後も継続する可能性が高く、金価格の上昇を前提にポートフォリオを構築すべきだと思います。具体的には保有資産の10%程度まで資産配分していくのはありだと考えます。

金の購入は「あり」ですが、金の購入方法については注意が必要です。

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金の投資方法は純金積立や金の現物を購入するのがポピュラーですが、売買コストと税金の問題があります。金の現物は保管が必要になり盗難リスクも出てきます。そう考えると金融商品を使った金投資の方がコスト面を含めメリットが大きいと考えます。

実は私は金には投資をしたことがありません。その代替としてアンティークコインに投資をしてきました。投資金額は金よりも大きくなりますが、金と同じように逃避資産としての特徴があり、希少性による値上がりも期待できるからです。また税制面のメリットもあります。

アンティークコインの方が同じ現物でも金の現物(ゴールドバーなど)よりもポータビリティに優れていることや、アンティークコインもグローバルに換金性が高いことも購入の理由です。

預貯金に資産を滞留させているとインフレによって実質価値が下落していきます。そんな状況に甘んじるくらいなら、リスクを取ってインフレに強い資産にシフトすべきです。金はその選択肢の1つになります。

金に限らず、投資をする人としない人の格差はこれからさらに広がっていきそうです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年10月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。