漫画家・イラストレーターの江口寿史氏が、SNS上に投稿された一般人や芸能人の写真を無断でトレースし、自身の商業作品として使用していたことが発覚した。特に「中央線文化祭2025」のメインビジュアルに関しては、インスタグラムに投稿された女性の横顔を無断で模写していたことが確認され、炎上騒動に発展した。ちなみに「トレパク」とは、他人の作品をなぞって自分の作品として発表する行為を指す。
- 無断使用の発覚経緯
江口氏が描いた「中央線文化祭2025」のメインビジュアルが、一般女性のインスタ写真を元にしたものであることがモデル本人の指摘で発覚。主催のルミネが一時的にビジュアルを撤去した。 - 事後承諾による再公開
江口氏はSNS上で「事後的に本人の承諾を得た」と説明し、修正版を再公開したが、「最初から許可を取るべきだった」との批判が相次いだ。 - 企業案件にも波及
メガネブランド「Zoff」やレストラン「デニーズ」も、江口氏の過去のイラストに同様の問題がないか調査を開始。企業の広告素材として利用されていたことから、コンプライアンス上の問題が注目されている。 - 過去作品にも疑惑が拡大
SNSでは「自分も無断でモデルにされた」と名乗り出る人が現れ、過去の作品(銀杏BOYZのジャケットなど)にもトレース疑惑が再燃。芸能人の写真をもとにした例も指摘されている。 - 業界構造の問題
昭和期にはトレースが「資料利用」として黙認されていたが、現在ではSNSやAIの普及により出典が簡単に特定できる時代となり、透明性と倫理性が問われている。 - 過去発言による炎上拡大
江口氏が以前「パクリが悪いとは思わない。僕もやった」と語っていた発言が再注目され、火に油を注ぐ結果となった。 - 和解と未解決の課題
モデルとなった女性とは和解に至り、クレジット表記・補正・使用料支払いなどで解決したが、他の作品の疑惑は依然として未解決。企業や芸能事務所を巻き込む大きな問題に発展する可能性がある。 - 業界全体への波及
2022年の古塔つみ氏の炎上に続き、再び「参考・模写・トレースの境界線」や「事前許諾のあり方」が問われている。イラスト業界全体でルール整備やチェック体制の強化が急務となった。
今回の江口寿史氏のトレパク問題は、アナログ時代の慣行がデジタル社会の透明性に追いついていない現実を浮き彫りにした。事後承諾や「資料参考」という曖昧な線引きは、今後は通用しない。著名クリエイターの行為が、業界の倫理基準や著作権意識の再構築を迫る契機となっている。
江口寿史氏SNSより