自民党総裁選で高市早苗氏が勝利したことを受け、金融市場は大きく反応した。円は急落し、株式市場は過去最高値を更新。市場は「積極財政」への期待を織り込みつつあるが、その裏でインフレ加速や財政悪化への懸念も高まっている。高市政権の経済政策は、短期的な資産効果と長期的な副作用を併せ持つ危うい局面に突入したといえる。
-
円安加速とドル高進行
高市氏の総裁選勝利を受け、円売り・ドル買いが急増。円相場は一時1ドル=150円台と約2か月ぶりの円安水準となり、輸出関連株に追い風となった。高市早苗自民党総裁の経済ブレーンである本田悦朗・元内閣官房参与が、「利上げは今月の金融政策決定会合での実施は難しいが、12月の会合では可能性がある」との見方を示したことがドル円が急落した原因とも言われている。 -
株式市場の歴史的上昇
日経平均株価は前週末比2175円高の4万7944円となり、史上最高値を更新。取引中には4万8100円台をつけ、輸出・防衛関連銘柄を中心に幅広い銘柄が買われた。 -
金融政策への影響と円安要因
高市氏が金融緩和に前向きと見られ、日銀の早期利上げ観測が後退したことで円が売られた。対ユーロでも1999年のユーロ導入以来の最安値を記録した。 -
国債市場の変動と海外への波及
財政拡張観測から長期金利が上昇し、国債価格が下落。特に40年債利回りが急上昇するなど、ボラティリティが高まっている。 -
積極財政のリスクと市場の期待の乖離
市場は景気刺激への期待で株を買い進めているが、論調では「積極財政による物価高進行と格差拡大」を警告。低所得層ほど円安とインフレの打撃を受けやすく、「積極財政支持は自己矛盾」との批判も強い。
高市政権の誕生は、短期的には「円安・株高」という市場の反応を引き出したが、長期的には「インフレ加速・債務膨張」という副作用を孕む。アベノミクス初期とは異なり、すでにインフレ環境下にある今の日本で積極財政を拡大すれば、低所得層への打撃が強まる危険もある。市場の熱狂の裏には、静かにリスクが存在している積み上がっている。
高市早苗氏インスタグラムより