こんにちは!自由主義研究所の藤丸です。
今回から新シリーズです。
シリーズ名は、
「政府は私たちの通貨に何をしたのか?」
実は一番難しいかもしれない「通貨」について、歴史から解説していきます。
通貨は、誰もが毎日のように使っている非常に慣れ親しんだものです。
「なぜ今さら、通貨の話?」と疑問に思われたかたもいらっしゃるかもしれません。
他の商品と違い、「通貨」には交換の媒体である、という特殊な機能があります。これはなぜでしょうか?
そして、ニュースでよく耳にする「金利」について、具体的に説明することはどのくらいの人ができるでしょうか?
また、今年7月に翻訳出版した「経済の考え方がわかる本 自由主義経済学のはじめの一歩」(※下記の本です)でも、後半の「通貨への介入」の部分が一番難しい、とご意見をいただきました。
これらのことから、「通貨」について、もう一度丁寧に考えてみる必要があると思いました。
経済の考え方がわかる本: 自由主義経済学のはじめの一歩 (自由主義研究所シリーズ)
※この「政府は私たちの通貨に何をしたのか?」は、前シリーズ「初心者のための経済学」と同様に、アメリカの自由主義シンクタンク「ミーゼス研究所」の入門動画(下記の動画)が元案となっています。
第1回 なぜ通貨について学ぶのか?
経済のテーマの中で、通貨ほど複雑で混乱を招くものはほとんどありません。
「金融引き締め」対「金融緩和」の議論、連邦準備制度と財務省の役割、そして金融危機への対応法など議論は尽きません。
こうした混乱は、目先の政治経済問題だけに焦点をあてようとする人類の性質に起因しているのかもしれません。
日常の出来事に没頭し、政治的な派閥主義やソーシャルメディアの即時的な満足に煽られると、根本的な区別を付けたり、真に基本的な疑問を問うことを止めてしまうのです。
これは特に、相互関係が極めて複雑な経済において顕著です。
私たちは、いくつかの重要な要因を抽出し、分析し、複雑な世界におけるそれらの作用を追う必要があります。
常にそうであるように、優れた経済学者の目的は、単に目に見えるものを分析するのではなく、それを他の可能性のある結果と比較することです。
経済問題の中でも、おそらく「通貨」は最も複雑で、最も視点が必要な分野です。
さらに、通貨は数百年にわたる政府の介入によって最も固着し、絡み合った経済領域です。
実際、多くの「専門家」は、通貨の国家管理を自由市場への干渉とは決して考えません。
彼らにとって、「通貨の自由市場」は考えられないです。
その結果、中央銀行家と金融エリートが、社会に対する支配力を何十年にもわたって強化し続けてきたのです。
歴史的に、通貨は政府によって最初に管理されたものの一つでした。
通貨の操作は、国民から歳入を搾取する最も容易な方法の一つであり、政府は課税のみでは到底賄えないほどの支出と管理を可能にしました。
何世代にもわたって、アメリカ人は、商品に裏付けされていない不換紙幣によって支えられたグローバル経済しか知りません。
人間社会で最も重要なツールの一つである通貨が、このように完全に政治利用されたことは、多くの人々が理解できないほどの破壊と人間の苦難を直接もたらしました。
ロン・ポール下院議員が指摘したように、「総力戦の世紀と中央銀行の世紀が一致したのは決して偶然ではない」のです。
また、左派と右派の両方の批判者が指摘する資本主義経済の欠陥の多くは、市場のせいではなく、通貨の社会化に起因するものだという事実も見ていきます。
今こそ私たちの経済の生命線である通貨に根本的な目を向けるべき時なのです。
通貨は「自由の原則」に基づいて秩序立てて運営することはできるのでしょうか?
他の商品やサービスと同様に、通貨にも自由市場は存在できるのでしょうか?
そのような市場の形態はどのようなものになるのでしょうか?
そして、様々な政府の統制はどのような影響を与えるのでしょうか?
もし、他の分野で自由市場を支持し、政府による個人や財産への侵害を排除したいのであれば、私たちにとって最も重要なことは、通貨の自由市場を実現するための方法と手段を探求することです。
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最後までお読みくださりありがとうございました。
今回は「なぜ通貨を学ぶのか?」という導入部分でした。次回からは、具体的に通貨の本質について、その歴史から紹介していきます。
編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2025年10月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。