公明党が自民党との連立を解消し、選挙協力を停止したことで、次期衆院選の構図が大きく変わる見通しとなった。四半世紀続いた「自公選挙モデル」が崩れ、自民党は組織票を失うリスクに直面している。
- 公明党は創価学会の組織票を背景に、小選挙区で自民党候補を支援してきた。平均2万票前後の「公明票」は接戦区で決定的な役割を果たしてきた。
- 日経新聞による試算では、公明票がなくなると自民党が132勝した選挙区のうち約2割(25区)で逆転負けする。立憲民主党が20区で上回り、自民166議席・立民168議席と拮抗する構図になる。
- JX通信社・米重克洋代表の分析では、全国52選挙区で当選者が入れ替わる試算もあり、特に東京・神奈川・埼玉・福岡など都市部で影響が顕著。さらに10選挙区では得票差5ポイント以内の接戦になる。
- 自民党の支持率は石破政権時の42%から高市政権で33%へ低下しており、公明票喪失が加わればさらなる議席減の可能性がある。
- 公明票が野党候補に流れた場合、1選挙区あたり4万票の差となり、全国的に自民の敗北が拡大する恐れがある。
- 24年衆院選で公明党が候補を立てた小選挙区に、次の衆院選では自民党として独自候補を擁立する方針を検討し始めたという観測もあり、公明党も自民の支援を失えば小選挙区での当選は難しく、野党との部分的な協力を模索する可能性がある。
- 自民党は公明票を補うため、維新・国民民主・参政党などとの候補調整を検討せざるを得ない。
- 高市政権は少数与党として政権運営と選挙戦略の両立が課題となり、保守色と調整力のバランスが政権の行方を左右する。
自公の選挙協力は、長年にわたり政権の安定装置として機能してきた。その装置が外れた今、自民党は「選挙で勝てる政党」でいられるかを問われている。公明党もまた、自民との相互依存を失い、自らの生き残り策を模索する段階に入った。日本の選挙地図は今、大きな転換点を迎えている。
高市早苗総裁(自民党HP)と斉藤鉄夫代表(首相官邸HP)