内閣府HPより
日本政府の致命的な弱点は、損切りができない事です。一旦進み出すと、間違いだと分かっても撤退できません。
典型例はクールジャパン機構です。巨額の赤字が累積されても、政策転換できずに継続し、誰も責任を取らず、効果も大して検証されません。政府が介入すると、全くクールでなくなります。
2013年の設立以降、クールジャパン機構は赤字続きです。累積損失は2025年3月末で383億円に達していて、これまでの投下資本の回収完了は2033年以降の見込みです。「赤字の底は打った」と主張していますが、これも過去に何度も計画が下方修正されている事を考えれば、その通りに進むとは思えません。
今後クールジャパン機構はアニメを売り出す方針です。しかしアニメが海外で売れたのは、政府支援ではなく作品の魅力のお陰です。むしろ政府にはアニメ業界の就業環境改善に注力して欲しいものです。
アニメ業界の給与は中央値で時給1111円、月間労働時間も中央値で225時間とやりがい搾取の典型です。
更にクールジャパンは民間企業が5億円ずつ出資して機構に参画していますが、同じ企業のプロジェクトが機構から100億円超の出資を受けている例もあり、利益相反が疑われます。「成長分野への積極財政」の名の下に血税を流し続ければ、最終的に痛みを被るのは国民です。これを覚えておくべきです。
クールジャパンの失敗は政府構造の歪みの象徴です。では、投資家はこうした国家主導のリスクをどう見抜けますか? この考察は過去のnoteで書いているのでご覧下さい。
「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第82回 クールジャパンに成功の可能性は残されているのか?|ちゃん社長
2024年6月、日本政府の知的財産戦略本部は「クールジャパン戦略」の原案をまとめました。この中では、アニメやゲームなどのコンテンツ産業を基幹産業と位置付け、それを積極的に海外展開していく方針が明記されました。一方で農林水産物の輸出に関しては、米中対立が強まる中で、中国への依存度を引き下げることが提言されています。 ...
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(編集部より)この記事は、ちゃん社長(@Malaysiachansan)のポストから転載させていただきました。