石破首相の退陣表明を受けて、国会での次の首班指名に向けて各党の駆け引きが激しくなっています。
そのような中、日本経済新聞電子版によれば日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は自民党との政策協議に関して「改革のセンターピンは議員定数の削減だ」とテレビ番組で発言したそうです(写真も同紙から)。
臨時国会召集までに議員定数の10%削減に自民党が合意しなければ連立入りしないと強気の交渉を行っています。
国会議員の数が多すぎるかどうかに関しては、短絡的に結論を出すのは難しいと思います。
国会議員になるのが目的で、なってからはロクな仕事をしない議員は論外で、すぐにでも辞めてもらいたいと思いますが、単に定数を減らしたからといってそのような人がいなくなるとは限りません。
国が抱えている政策課題は非常に多く、国会議員の定数を削減すれば、むしろ選挙区民の声を丁寧に聴くことができなくなり国民の意見が国会に届きにくくなるデメリットもあると考えられます。
しかも、もし国会議員の定数を10%減らしたところで、年間のコスト削減はせいぜい数十億円程度です。行財政改革を進めるのであれば、もっと優先すべき項目があると思います。
例えば、返礼品や広告宣伝に莫大なコストをかけている税金の無駄使いをしているふるさと納税などはその一例です。
ふるさと納税によって集められた寄附金額は2024年度では1兆2727億円となっています。経費率は45%前後で推移していますから、1年で5000億円以上のコストが返礼品やふるさと納税サイトなどにかかっていることになります。
国政にまず必要なのは選挙制度の改革です。1票の価値が不公平にならないように選挙区の定数を毎回自動的に変更する仕組みを導入する。
また、比例と小選挙区の重複立候補は禁止して、比例復活という救済措置を封じるべきです。
今回の議員定数削減の提案は、私には日本維新の会が改革政党としての存在感をアピールすることを目的としたパフォーマンスに見えてしまいます。
メリット・デメリットについて充分な議論を経ずして、改革という名のもとに国会議員の定数を減らすことには私は反対です。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年10月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。