陸自は大幅に削減すべきです。いずれにしても少子高齢化で現在の兵力の維持は無理です。
7〜8万人程度に減らして、あとは空海自に振り向けたり、総務省あたりに民間防衛組織を作ってそちらに移行する。純減は2〜3万人。
そのうえで少数精鋭の現代的な部隊と、後方を担当する軽武装の部隊にわける。
「ロシアは本当に攻めてくるのか?」陸自に突きつけられた「戦力不要論」、元海自司令官の答えは
陸上自衛隊の存在理由の一つは「限定的かつ小規模な武力侵攻を独力で排除できる防衛力」。想定される脅威はロシア(旧ソ連)だが、「本当に攻めてくるのか?」という疑念から、政治家やメディアでは根強く「陸上戦力不要論」が唱えられてきた。
陸上自衛隊は難しい問いに答えなければならなかった。「本当にソ連は日本に攻めてくるのか」という問いだ。前述したように、1976年の防衛計画の大綱では、限定的かつ小規模な武力侵攻を独力排除できる防衛力を持つという基盤的防衛力構想が打ち出されていた。
「限定的かつ小規模な武力侵攻」を行うとすれば、それはソ連に他ならない。だが、本当にソ連は攻め込んでくるのかという問いが陸上自衛隊に向けられた。
軍事ジャーナリストのピンコフことアンドレ・チャンがロシアの将官に取材したことがあって、冷戦下でもソ連が日本に対する侵攻作戦を策定したことはない、とのことでした。
実際にソ連軍にその能力はなかった。ただ結果的にそれはわかったわけで、そうはいっても西側全体の抑止のために北方に戦力を貼りつておく必要性はなかったとはいいません。ですが、ソ連が来るのは北海道、戦車がいっぱいやってくるという「願望」に基づいて計画を立てた。
だから北転戦車などといって北海道に戦車を集中した。そして陸自は北海道でしか使えない戦車を採用した(ぼくは90式が内地で使えないとは思いませんが)。
その「フィクション」が10式導入の理由になっている。これはフランス書院の官能小説を教科書に女性を口説こうというようなものです。
もしもソ連軍による着上陸侵攻の可能性が低いのであれば、基盤的防衛力構想を見直さなければならなくなる。日本全国にくまなく部隊を配備する必要性も低くなる。つまり、山川論に基づき14区画に師団・旅団を配備する陸上自衛隊の編制を見直さなければならないのではないか、という議論につながる。
こうした疑問に対し、陸上自衛隊との間で、「結論」を見いだせなかった。
仮にソ連の着上陸侵攻がないのであれば、戦車は必要ないのではないか、大砲もいらないのではないかという議論になるのを恐れ、まともな国防論には乗ってこないように見えたのだ。
陸上自衛隊は「陸上防衛戦力無用論」という幻影と戦っているのだ。それがゆえに、「本当にソ連は日本に攻めてくるのか」と問われても、正面から答えようとせず、難問を回避する姿勢をとると私の目には映った。
陸上自衛隊は無用論を過剰に恐れた結果、健全な防衛戦略と防衛力整備に関する議論ができなかった、というのが陸上自衛隊の俊英との協議に臨んだ当時の私の見立てである。
陸上自衛隊は「陸上防衛戦力無用論」という幻影と戦っているのだ。それがゆえに、「本当にソ連は日本に攻めてくるのか」と問われても、正面から答えようとせず、難問を回避する姿勢をとると私の目には映った。
陸上自衛隊は無用論を過剰に恐れた結果、健全な防衛戦略と防衛力整備に関する議論ができなかった、というのが陸上自衛隊の俊英との協議に臨んだ当時の私の見立てである。
陸自はファンタジーをもとにすべての計画を立ててきた。だから勢い部隊整備も装備開発、調達も現実から乖離するわけです。
ぶっちゃけた話どうせ戦争なんか起こらないんだから、適当でいいや、ということです。相手がソ連軍だろうとゴジラだろうと、使徒だろうと同じ。起こらない状況を設定しているのだから空理空論に走るし、軍事的な整合性も求めない。
だから編成数しか装備を調達しないので、修理に出すと稼働率が激減する。小銃の手入れ法もしらないし、怪しげな軍事ジャーナリストが指摘しない途上国ですら導入しているプレートキャリアも導入できなかった。通信機が通じない、無人機が落ちても周波数の問題も声を上げられず、延々と使えない屑を調達してきた。
例えば水機団、特殊作戦団、空挺団、第一ヘリ団をまとめて緊急展開師団とする。
第7師団は旅団に格下げし、2個機械化旅団と合わせて装甲師団とする。後は機械化歩兵3個旅団で1 個師団。合計3個師団。後方支援旅団を3個。方面隊は全廃して、普通科は連隊を大隊に格下げしてその上に連隊を置いて、個数を減らす。
部隊編成や装備開発、調達に関しては当事者能力が欠如しているので外国のコンサルタントに丸投げする。
組織の意識と文化の改革が最重要ですが、これが一番難しい。政治が決断してそれを押し付けるしかないでしょう。
10式戦車 陸上自衛隊HPより
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東洋経済オンラインに寄稿しました。
拡大する防衛費を防衛省・自衛隊が適切に使えていない可能性。陸上自衛隊による、銃の調達や取り扱いから垣間見える「知識不足」の疑い
https://toyokeizai.net/articles/-/911653
ソニーグループが「隠れた防衛関連企業」といわれる理由、実は同社製のある汎用品がミサイルやドローンなどに欠かせないパーツになっていた
https://toyokeizai.net/articles/-/907817
Japan In Depthに寄稿しました。
防衛省、新型18式防弾ベストの調達停止と改良の背景
https://japan-indepth.jp/?p=89057
海自P-1哨戒機、事実上の「調達中止」も?高騰コストと低稼働率の現実
https://japan-indepth.jp/?p=88936
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https://japan-indepth.jp/?p=88956
2025年度陸自の戦力強化:装甲車両と小火器の最新調達リスト
https://japan-indepth.jp/?p=88960
失策を隠蔽し「大本営発表」繰り返す防衛省:自衛隊の予算を増やすべきか
https://japan-indepth.jp/?p=88343
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P-1哨戒機の高コストと低稼働率:会計検査院報告が示す課題
https://japan-indepth.jp/?p=88306
会計検査院P-1報告書を読む その1
https://japan-indepth.jp/?p=88204
会計検査院P-1報告書を読む その2
https://japan-indepth.jp/?p=88215
会計検査院P-1報告書を読む その3
https://japan-indepth.jp/?p=88221
会計検査院P-1報告書を読む その4
https://japan-indepth.jp/?p=88227
P-1哨戒機失敗の本質
https://japan-indepth.jp/?p=88057
陸自に砲兵装備開発と運用能力はあるのか:19式装輪自走155mm榴弾砲は失敗作。
https://japan-indepth.jp/?p=88027
自衛隊のヒートマネジメントは遅れている
https://japan-indepth.jp/?p=87990
防衛大臣記者会見|令和7年06月13日(金)で質問しました。
https://www.youtube.com/watch?v=BX64YTsuBIU
12日の陸幕長、空幕長会見で質問しました。
6月12日陸幕長会見での質問。
https://www.youtube.com/watch?v=6yUSZHIIYls
空幕長会見2025年6月12日
https://www.youtube.com/watch?v=kNHiSikwqqs
Note に有料記事を掲載しました。
内張り装甲とスポールライナーの区別がつかなかった防衛省とJSF君
https://note.com/kiyotani/n/n5f35d980fc82
東洋経済オンラインに寄稿しました。
墜落事故の「搭乗員らしきもの」発言は謝罪したが…事実誤認は訂正しない防衛省の”二重基準”
財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)
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防衛
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編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2025年10月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。