まもなくハローウィンですが、11月に入ると中国の11月11日の独身の日、北米ではサンクスギビングセールが始まり、11月28日がブラックフライデー、そしてそこを超えるといよいよクリスマス商戦とあわただしい時期に入ります。今年もあと2か月強ですが、ここから年末までは毎年早いというが実感です。
さて、今年、世界の株式市場は堅調に推移し、特に日本は1月6日の大発会時は日経平均が39000円台だったことを考えると20%以上上昇しているわけで「右肩上がりよ、永遠に」と思っている方もいらっしゃるでしょう。このブログでは確か6月頃だったと思いますが、「好き嫌いにはあるにせよソフトバンクGに注目」と申し上げた頃はまだ株価が8000円台の時期ではなかったかと記憶しています。今はほぼ25000円ですから隔世の感すらあります。
東京証券取引所 Wikipediaより
実は日経平均は上がっている銘柄とそうではない銘柄にムラがあり、ソフトバンクG、ファーストリテイリング、東京エレクトロンといった指数寄与銘柄を主体に日経平均が釣り上がっています。ところが例えば東証グロース指数を見ると8月にピークをつけてから今日まで1割程度下げているのです。つまり東京市場は一部銘柄に集中した取引となっており、砂上の楼閣とは言わずとも個人的にはあまり強固な株価形成には見えません。騰落率も今年の夏ごろは140から150台でしたが今では100を切る状況です。多分ですが、真のピークは8月半ばでその後は釣り上げられた形になっているので日経平均はいずれ当時の44000円程度に引き戻される可能性は残っています。
一般の株式市場の予想が強気に対してなぜおまえはさほどでもないのか、といえばそもそも日本の株価がそこまで上がる理由が見いだせないのであります。株価の変動は概ね3つの要素、決算などにみられる経営の実績と将来の成長性、他社、業界、国家レベルでの比較が考えられます。成長性については企業が独自に努力する場合と社会的需要や政治的要因でフォローの風が吹く場合があります。比較はその言葉通りで相対評価をして割安だった場合に裁定取引のごとく買い漁られます。
では企業決算がそこまで良いのか、といえばもうすっかり忘れてしまった感があるのですが、アメリカの関税はボディブローのように響くはずです。新興国を含めた世界景気は下向き。IMFの直近の世界経済の見通し(WEO)では25年は関税前の駆け込み需要で上方修正したものの26年以降は下向きで特に25年のアメリカの成長率予想が2.0%と冴えず、中国も26年に4.2%と大幅ダウンを見込んでいます。
もう1つ、日本で気になるのは日銀の動きなのですが、政策委員のうち、タカ派の2人が強く利上げを主張し、政策委員全体がそれに引っ張られる形になっています。インフレ率は一旦収まりつつありますが、利上げは既定路線であり、12月か年明けあたりの実施が見込まれます。
よって為替についてもアメリカは利下げ方向にあり、アメリカ国内景気も不明瞭なのに対して日本が利上げとなれば円高バイアスになりやすいことはあります。読みにくいのは片山さつき氏の財務大臣としての方針と手腕です。本人は積極財政派となっていますが、基本的に税のリバランスを目指しそうな気はします。また維新との連立で高市カラーがやや抑え気味にならざるを得ないとみており、高市氏=積極財政=円安という一方的動きにはなりにくいのではないかと個人的には感じています。為替はアメリカの政策要因が大きく、日本の動きだけでは為替のシーソーは大きくは動かないのですが、特段サプライズがなければ年末で145円台ぐらいが居心地の良いところかなという気がします。
最後に金(ゴールド)ですが、正直、急に上げすぎました。チャートは典型的な超加熱相場で何かきっかけがあればすぐに500㌦ぐらい下げてもおかしくない状況にあったと思います。今日の急落は米中の関係が落ち着きそうだということがトリガーでしたが、金相場はつかみどころがない相場形成だけに世界の不具合とそれに対する人々の反応の熱量で価格が決まっていくと言ってもよいでしょう。中央銀行は金の安定的ホールダーですが、一点、気をつけなくてはいけないのは仮にロシアがアメリカに締め付けられた場合、ロシアが金の放出して資金ねん出をすることもありますのでロシア情勢についても常に目を光らせておく必要があります。
お前はちょっと弱気だな、と思われるかもしれません。私の予想が外れることを祈ります。ただ「相場に永遠はない」ということも肝に銘じて頂きたいと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年10月22日の記事より転載させていただきました。