東日本大震災の事はみんなもう忘れてしまった

今年もまた東北スタディツアーで投資家コミュニティー資産設計実践会メンバーと気仙沼にやってきました。

現地で民宿を営む唐桑御殿つなかんの菅野一代さんに再会することができました。この日は天気が最高で、帰る時には海岸線に綺麗な夕焼けを見ることができました(写真)。

一代さんは2011年の東日本大震災の大きな津波によって自宅が壊滅的な被害を受けました。その後ボランティアの人たちに助けられ、建物を復興させ新たな人生のスタートを切りました。

ところがその後、2017年3月23日に第1信盛丸が転覆事故を起こし、ご主人を含むご家族3人を失う試練に晒されます。

絶望的な状況から一時は精神的にも大きく落ち込んでいましたが、そこから立ち直り今も懸命に明るく生きています。

少なくとも表面上は辛い様子を見せることなく、全国からやってくる人たちを弾ける笑顔で迎えてくれる姿を見るといつも涙ぐんでしまいます。

そして、毎回お話を伺うとその強い心に勇気が湧いてきて帰る時には何だかいつも元気になれるのです。私にとってここは心のエネルギーチャージの場所でもあるのです。

今回は人数の関係で残念ながら宿泊はできませんでしたが、素朴で心のこもった美味しいお昼ご飯をいただきながら、ホッとするひと時を過ごすことができました。自分の田舎に帰ってきた時のような気持ちになります。

この宿の名物である3つのサウナも楽しむことができました。前回来た時からさらに1つサウナが増えてサウナ好きなら一日いても飽きません。

震災があった2011年からの数年間にはたくさんのボランティアの方や有名人が東北にやってきて復興支援を行ってきました。

あれから14年の歳月が流れ、今や何も無かったかのように過去は忘れ去られています。

Corosukechan3/iStock

メディアで報じられるのも毎年3月11日前後だけで、これから更に震災を経験したことの無い世代の若者が増えていきます。

でも、未だに震災のダメージはあちこちに残っており、何より被災された方の心には今も辛く悲しい記憶が残っているはずです。

2011年から毎年のように東北に来ていますが、ボランティアをする訳でもなく食べて飲んで、たくさん買い物をする。そして地元の方のお話を伺い、毎回学びと気付きを得ています。

一代さんだけではなく、東北にはたくさんの魅力的な人たちがいます。これからも震災をきっかけに生まれた東北とのご縁を末長く大切にしていきたいと思いました。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年10月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。