大阪にいる観光客の「8割は外国人」

数ヶ月ぶりに観光で大阪に行ってきました。秋の行楽シーズンのせいか、大阪に向かう新幹線も満席状態でしたが、意外なことに8割方が外国人の乗客でした。

この状況は現地に着いてからも変わりませんでした。難波のアーケード商店街を歩いているのもほとんど外国人で、日本人を探す方が難しい位です。

心斎橋のホテルも朝食会場にはアジア系の外国人が多く、ここでも日本人観光客の存在感は大変薄かったです(写真)。こちらのホテルでは宿泊客の構成比に合わせてなのかスタッフの多くが外国人になっていました。もはや日本語よりも英語が標準語になっているようです。

メディアの報道を見ていると、最近は国内のホテルの宿泊費が高騰して大阪に限らず全国的に日本人の国内旅行者数が減っているそうです。

外国人観光客が増えても日本人の旅行者の数が減れば、オーバーツーリズムは解消の方向に向かいます。今の状況は観光客からすれば決して悪いことではありません。

しかし、同じ旅行者でも外国人観光客の中にはマナーに問題がある人たちが少なくありません。

商店街の真ん中で団体でたむろしてファストフードを食べている人たちや、並んでいる列に横入りしてくるような人たちです。

また、電車に自分よりも大きなスーツケースを複数持ち込んでいる人も見かけました。日本の常識ではここまでの荷物は公共交通機関では運ばないものです。

外国人観光客が敬遠されるのはこのような日本の慣習とは異なる行動が混雑や混乱を助長するからだと思います。

ルールではなくマナーの問題で行動慣習が違うのであれば、強制することはできません。通路をふさがない、行列には割り込まない、大きすぎる荷物は車内に持ち込まないといった日本での公衆マナーを周知していく活動が必要になります。

それだけで解決しなければルールによる規制も必要になるでしょう。

例えば、電車やバスに持ち込める荷物の大きさや数に規制を導入したり、追加料金を徴収するといった対応です。

宿泊費の高騰による国内観光客の減少を見てもわかるように、オーバーツーリズムを解消するのに一番効果的なのは価格の上昇です。

人が多過ぎるならコストを上げて需要を減らすしかありません。

現状は円安によって海外との内外価格差があって、日本でブランド品やコスメなどを買う方が海外より割安な状態になっています。

そんな外国人から見て相対的に安いと思われている日本の観光コストが他国よりもそれほど安くないという状態になれば、外国人観光客は他の国に分散していくことになるでしょう。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年10月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。