米国ではAIと並走する形で、ホワイトカラーとブルーカラーの立場が逆転しつつある。知識労働の一部がAIに代替されるなか、アメリカでは「手に職」を持つ技術系ブルーカラーが高収入を稼ぐ現象が進行している。この動きは労働市場だけでなく、教育、産業、社会構造全体に波及する変化を示している。
- 修理技師や配管工が高収入を稼ぎ、医者や弁護士を超える例も。
- 技能工への需要が急増し、訓練校の入学者も増加。
- AIがホワイトカラーの業務を代替。法務やソフトウェア開発などでAIが人間の仕事を圧迫。
- 大卒者の就職難が深刻化し、ブルーカラー志向が強まっている。
- トランプ政権は職業訓練への奨学金支援を拡大。
- 建設業などで人材不足が深刻で、技能職に高給が集まる。
- ブルーカラー再評価の時代。AIに代替されにくい「手に職」の価値が上昇中。職人、技術者が新たな勝ち組に。
- 賃金が高いのはエレベーターとエスカレーターの設置・修理工で、年間所得は10万6580ドル(1600万円)。
- 日本にも同じ現象が進行しており、建築・工業系の求人倍率は高く、事務職は飽和している。地方ではすでに技能者のステータスが確立しつつある。
- 教育と職業観の転換が急務。大学卒よりも技能習得が強いキャリアパスになってきている。「手に職」とAIの活用が望ましい。
- ホワイトカラーは淘汰の波に飲まれる。上位大卒でもAIに代替されるリスクは払しょくできず。また、途中からブルーカラーに参入しても技術習得はなかなか厳しい現実。
AIの進化はホワイトカラーの仕事を容赦なく奪い、技能を持つブルーカラーに逆転の機会をもたらしている。米国で進むこの現象は、少子高齢化と人手不足に悩む日本でもすでに始まっている。
大学進学を前提とした教育観を見直し、「手に職」路線への戦略転換こそ賢明な選択ではないだろうか。高市政権も、日本の産業構造転換と若者のキャリア設計を見据えた人材政策が求められる。
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