医療機器大手のオリンパスは7日、国内外でおよそ2000人の人員削減を実施すると発表した。これは9月末時点のグローバル従業員の約7%に相当する。
- 高水準の利益率を維持する事業部もある中で攻めのリストラと言える。
- 黒字にもかかわらず、人員削減を進めるのは、将来の不透明さやより高収益な体制への構造転換と経営の効率化を狙った動きとされる。
- オリンパスはすでに一部の事業売却や再編を進めており、今回はその延長線上での人員最適化と位置付けられる。
- 「黒字リストラ」はオリンパスに限らず、大企業が雇用を守る前提が揺らいでいる現状を象徴する。東芝やJAL、ソニーなど、過去には経営危機に陥りながら事業売却や人員削減で生き残った企業も多く、会社が残っても従業員全員が残れるとは限らない。
- 背景には、日本全体の人手不足を逆手に取った「転職前提時代」の到来がある。就活生の間で根強い「大企業=安定」の信仰が、実態と大きくずれつつある現象だ。
オリンパスの2026年3月期第2四半期(4~9月)の連結最終利益は、前年同期比で40%減の291億円に落ち込んだ。利益率の高い事業部を擁しながらも、足元の業績が伸び悩んでいることも、「黒字リストラ」実施の一因だとみられる。
今回のリストラは、「会社は潰れなくても社員の職はなくなる」という現実をあらためて突き付けている。これまでの「会社にしがみつく安定」はすでに崩壊しつつあり、今後、他の大企業もこのような動きに追随する動きを見せており、日本の雇用観は大きな転換点を迎えている。