片山さつき財務相は12日の参院予算委で、円安の悪影響を認めつつも、政府は円安を深める補正予算を続けており、政策の矛盾が一段と鮮明になっている。国債デフォルトを否定する発言も、市場の根本的な懸念には答えていない。
- 片山財務相は円安について「マイナス面が目立ってきた」と述べ、物価高などの影響を認めた。
- 一方で政府は20兆円規模とも噂される補正予算を進め、総需要を押し上げる「円安促進策」と矛盾する姿勢を取り続けている。
- 片山氏は「高い緊張感を持ち見極める」としつつ、為替は155円台に接近。市場は「日銀が利上げしても打ち止め」と見て円売りが続いている。
- 円安の背景には、高市首相らによる「利上げ否定」のメッセージがあり、政府・日銀が円防衛に本気で取り組むと受け止められていない。
- 国債デフォルトについて片山氏は「円建てで国内保有が多く、通常考えにくい」と否定したが、「問題はデフォルトではなく政府の支払能力への信認」である。
- 長期金利の上昇は、市場が日本財政の持続性に疑いを持ち始めていることの表れで、債務拡大が名目成長を上回れば債務残高が発散するリスクが強まる。
片山財務相は円安の悪影響を認めながらも、実際には円安を深める財政運営を続け、政策の整合性は崩れつつある。国債の信認低下や円売り加速が指摘される中、政府がどこまで本気で財政と金利に向き合えるのかが最大の焦点となっている。
会見する片山さつき財務大臣