2025年7〜9月期の日本の実質GDP成長率が6四半期ぶりにマイナスへ転じた。内閣府が11月17日に公表した速報値では、個人消費や設備投資の弱さが鮮明となり、景気の足踏みが改めて浮き彫りになった。
- 内閣府が発表した2025年7〜9月期の実質GDP(季節調整値)は前期比0.4%減、年率換算で1.8%減となり、6四半期ぶりのマイナス成長となった。
- 個人消費は物価高の影響や節約志向の強まりから低調で、前期比マイナスとなった。特に外食や旅行などサービス消費の伸びが鈍化した。
- 企業の設備投資も慎重姿勢が続き、AI投資など一部分野を除けば総じて弱含んだ。円安による輸入コスト増も企業マインドの重荷になった。
- 輸出は持ち直しつつあるが、海外需要の回復が限定的で、全体としてGDPを押し上げるほどの力強さは見られなかった。
- 政府の経済対策は秋以降の補正予算で本格化するが、足元の消費低迷や企業心理の悪化を転換できるかは不透明だ。市場では「景気後退入りリスクを警戒すべき局面」との指摘も出ている。
日本経済は高インフレ、円安、消費の伸び悩みなど複合的な要因により、回復の勢いを失いつつある。政府は大型補正予算で下支えを図るが、民間需要の弱さを克服しない限り、力強い成長軌道への復帰は容易ではない。今後の政策対応と企業・家計の動向が注目される局面といえる。
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