Xが投稿者の位置情報を表示する機能を導入したことで、政治的影響力の大きいアカウントの実態が次々と明らかになり、SNS上で大きな混乱が起きている。著名・匿名にかかわらず、それらのアカウントが日本外から投稿していた指摘が相次ぎ、情報戦の広がりが浮き彫りになった。
Xが投稿者の所在地や設定履歴を公開
- 22日、Xは所在地、アカウント開設日、ユーザー名変更回数、アプリのダウンロード地域を第三者が閲覧できるようにした。
- 所在地はIPアドレスなどから推定し、VPNの使用有無も表示される。
- 透明性向上を掲げたが、実際には「身元暴露」をめぐる騒動が拡大した。
表示機能は誤差や混乱も招く
- サーバー所在地やVPN経由で実際の位置がずれるケースが多く、誤表示の指摘が続出した。
- 中国からの投稿が「なぜか中国表示のまま」の例もあり、工作活動との関連を疑う声が広がった。
- Xは混乱を受け、一部の表示機能を停止した。
米機関は以前からSNSでの工作に警鐘
- GAO(米政府監査院)は外国勢力が生成AIを使い誤情報作戦を展開していると2024年に警告。
- NATO(北大西洋条約機構)もXを「親ロシア派コンテンツの主要ハブ」と指摘。
- Xでは以前から偽アカウントによる選挙介入が問題視されてきた。
参照:Xで投稿者の位置特定可能に 米国外から発信のMAGA派アカウントも 日経新聞
所在地表示機能は透明性向上を目的としながら、政治工作が疑われるアカウントの実態を暴き出し、SNSの情報空間に大きな衝撃を与えた。誤表示や混乱を抱えつつ、各国が懸念してきた世論操作が可視化されつつあり、Xの「投稿者の所在地公開」めぐる議論はさらに深まりそうだ。
イーロン・マスク fatido/iStock