共同親権への法改正が来年4月に行われるのを前に、市民団体「養育計画書推進委員会」による主に地方議員を対象とした勉強会「共同親権で日本はどう変わるか」が28日、参議院議員会館で行われた。勉強会はZoomでも中継され、全国の多くの地方議員らが参加した。
勉強会では、参議院議員の嘉田由紀子氏、梅村みずほ氏、北村晴男氏、大和市議の中村一夫氏、札幌市議の荒井いさお氏、弁護士の上野晃氏がパネリストとして参加。法改正後の共同親権の運用の仕方について、地方自治体の取り組みなどを紹介しながら進行した。
北村氏は、これまでの単独親権制度について、親の都合で離婚したときに、子供に対する責任を全く果たさない離婚制度が長年続いてきたと説明。「人として無責任なだけでなく、国家としてあまりにも子供に対して無責任」と断じた。
また、共同親権への法改正までの議論の中では、「母親が夫からDVを受けるケースが多く、子供を守る必要がある」と左翼活動家が主張してきたことについて、「離婚弁護士たちが稼げなくなるから、という以上に、イデオロギーの問題が大きい。
家族は男性支配の組織体、支配の構造だと思っている。彼らは、離婚は男性支配からの女性の解放運動だと受け止めている。子供は必要だが、できる限り離婚して、共産党(社会)が直接子どもを教えればいいと考えている」などとその背景について論じた。
梅村氏は、離婚後の親子交流について、それを所管する省庁がないことについて挙げ、まずは所管をはっきりさせることが必要とし、「子ども家庭庁は公金チューチューの温床となっている。これからが本当の闘い。子供と親がずっと絆を保てる日本を目指してワンチームでやっていきたい」と訴えた。
中村氏は、これまでに地元の当事者などから直接話を聞いてきて、議員の会を立ち上げ、今では北海道から沖縄まで100人くらいいるとの経緯を紹介。別居親が子供の行事に参加したい場合に、教育委員会や学校側がかかわらず、うまくいかないケースが多いと言い、このような場合にADR(裁判外紛争解決手続き)が向いているのではないかと提案した。「これからますます地方議員がしっかり頑張っていかなければならない。子供たちのためにしっかりとがんばっていきたい」と話していた。
荒井氏は、オーストラリアでもかつては単独親権制で、連れ去りや親子断絶、養育費不払いなどが横行しており、今の日本と同じ状況だったことを紹介。共同親権への法改正後、男性側の幸福率や、出生率が上がるなどの効果があったという。今回の法改正では、「骨抜き」との批判もある中で、「骨を入れる作業を当事者も含めてやっていかなければならない」と熱弁した。
上野氏は、今回の共同親権が本格的な制度になるかの肝の部分が共同養育計画書の作成だと説明。4月に動き出すのであれば、裁判所内で研修や周知徹底などをしているはずだが、そのような動きがないとし、骨抜きにされた前提で何ができるのかと訴えかけた。
その上で、「裁判所は自分たちが社会を作っているというよりは、指差し確認的に、社会がこうなっているならそうしていきましょうとなっていく傾向が強い」とし、離婚時に養育計画書を出すことを義務付けはできないが、そうした流れを進めていくことはできるので、そうして周知徹底させていき、裁判所が「こういう風な審判を出してみようかな」という動きになるようにしていく必要があると話した。
嘉田氏は、会場から出された、「子どもは取り合うものではなく共同で養育していくものという意識は、離婚時だけではなく、婚姻時や出生時にも周知していく必要があるのでは」という提案を受けて、「アメリカでは高校の教科書からファミリーとは何かと入れている」と早期の学校教育での周知の必要性を紹介し、「国会でも提案していきたいと思う」と話していた。