それでもタワマン高層階に住みたいのか?

今週香港北部の新界地区大埔で発生した大規模火災は高層のタワーマンションの住人に大きな被害をもたらしました(写真は日本経済新聞電子版から)。原因については改装工事の足場の竹に火が引火したとか、工事に法令違反の素材が使われていたといった報道がされていますが、現時点では真相はわかりません。

このような高層ビルでの火災が起こるといつも思うことは「それでもタワマン高層階に住みたいと思うのか?」という素朴な疑問です。

2017年にイギリスで発生した同様の火災の時にもブログにこのような記事を書きましたが、タワーマンションの高層階にはメリットよりもデメリットの方が大きいと個人的には感じています。

タワーマンションの高層階は眺望が良いことは確かです。周囲を遮るものがなく、上から見下ろすように一望できるのは気持ちの良いものです。

私も以前は眺望の良い部屋に住んでみたことがありますが、そこで分かったことは眺望に感動するのは最初だけで、すぐに慣れてしまうということです。

高層階のデメリットとしては、地上階へ降りる時間がかかることです。高層階はエレベーターに乗る時間が長くなり、途中の階にも停車して時間がかかります。同じ建物でも距離感がかなり遠く感じられるようです。

また、バルコニーの風が強いことが多く、あまり使い物になりません。

さらに火災のリスクだけではなく、エレベーターが故障した時には地上に降りられなくなることもあり得ます。階段を使って10階以上の移動するのは本当に大変です。陸の孤島になってしまうリスクがあると言うことです。

たまに眺望を楽しみたければ、最上階にあるスカイラウンジのような共用施設を利用すれば充分です。

日本のタワーマンションは防災に関する規制が厳しく、香港の火災のような出来事は考えにくいかもしれません。

しかし、災害というのは想定外だから発生するともいえます。

香港の火災事故には様々な問題があったことが指摘されています。原因が究明され、同じことが2度と起こらないような対策が取られることを強く望みます。

MASA Sibata/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年11月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。