ポーランド発の企業もファストファッション市場に参入
ファストファッション企業としてZARAを傘下に収めるINDITEXやH&Mが世界規模で市場展開を進める中、その隙間を縫うようにアイルランドのPRIMARKが2010年頃から注目を集め、激安ショップとしてヨーロッパ市場で急成長した。これに対抗するため、INDITEXは「Lefties」というブランドを立ち上げ、激安路線で競争を展開している。
こうした状況の中、近年ではポーランドで2004年に誕生したPEPCOという企業が新たに加わりつつある。PEPCOはまず東欧市場を制覇し、ポーランドを皮切りにルーマニア、チェコ、ハンガリーなどへ進出、すでに約20カ国で店舗展開している。そして現在、スペインおよびポルトガル市場に凄まじい勢いで参入を進めている。
PEPCOはアパレル以外にも多品目を取り扱う
PRIMARKと同様に超低価格での商品展開が特徴で、Tシャツ3ユーロ、パジャマ10ユーロ、セーター15ユーロ、スリッパ7ユーロといった価格帯で販売している。
特筆すべき点は、従来のファストファッション企業と異なり、当初からアパレルだけでなく一般家庭用品、香水、食品、文具、玩具なども激安価格で併売していることである。
さらに他社と異なる点として、人口5万人程度の小規模都市を含む幅広い地域で店舗を展開していることが挙げられる。こうした小規模都市のショッピングセンターを中心に出店し、店舗の広さはおおむね500〜700平方メートルとなっている。
スペインでは、当初9店舗だったものが、わずか数年で225店舗へと急拡大している。
ネット販売を行わず、店舗拡大で成長する戦略
商品が超低価格であるためネット販売には不向きで、配送費や返品対応を考慮すると採算が取れない。したがって、成長のためには店舗数を増やすことが不可欠だ。この戦略はPRIMARKも同じで、同社もオンライン販売を一切行っていない。
加えて、ZARAやH&Mが大型店とネット販売に経営資源を集中させ、小型店舗を閉鎖している。この隙間をPEPCOが巧みに突き、急速に市場を広げているのである。
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【参考記事】
- Así es Pepco, el ‘Primark polaco’ que cuenta con más de 100 tiendas en España
- Pepco, el “Primark” polaco, acelera en España con vistas a ocupar el vacío dejado por Inditex y H&M
- Ni Primark ni Lefties: la cadena ‘low cost’ que abre en pleno Madrid el 4 de diciembre