認定NPO法人フローレンスが、補助金で整備した保育施設を担保に金融機関から借り入れを行い、その資金を保育目的以外に使っていた疑いが浮上した。テレビ朝日が報道したことで、補助金の管理体制の疑惑や説明責任がようやく問われることとなった。
参照:NPO法人「フローレンス」保育の補助金施設 違反担保で5000万円「目的外」利用も グッド!モーニング
おやこ基地シブヤ フローレンスHPより
問題の経緯
- フローレンスは2017年、補助金を使って渋谷区に保育施設「おやこ基地シブヤ」を整備。
- 区には「普通抵当権」を設定すると申請していたが、実際には用途制限のない「根抵当権」を設定。
- 根抵当権は、建設目的以外でも繰り返し借り入れが可能なため、行政が原則認めていない。
5000万円借り入れの実態
- 2023年度、同施設を担保に東日本銀行から5000万円を借り入れ。
- 名目は「小規模保育園改装資金等」だが、実際は運転資金として使用。
- 約2000万円は、別の借り入れの返済に充てられていた。
- フローレンス側も「建物整備費ではなく、目的外利用にあたる」と認めている。
手続き上の問題
- 借り入れは2017年2月、区への担保申請は同年10月で時期にずれ。
- 区議会では「建物目的の借り入れなら説明が合わない」と指摘。
- 国の担当大臣も「補助金施設への根抵当権設定は適正ではない」との認識を示した。
法的リスクと責任
- 専門家は、無断で担保提供を行った場合、補助金適正化法違反にあたる可能性を指摘。
- 補助金返還や交付決定取り消しが生じる可能性もある。
- フローレンスは是正対応を優先し、責任問題は理事会で検討中としている。
補助金で整備した保育施設を担保にした根抵当権設定と資金の目的外利用は、認定NPO法人に求められる公金管理の在り方を根本から問う問題である。今後、行政の調査結果と補助金返還の判断、組織トップの説明責任が大きな焦点となる。