習近平政権が「消費重視」に転換?

习近平:扩大内需是战略之举-新华网
习近平:扩大内需是战略之举-我们要坚持供给侧结构性改革这个战略方向,扭住扩大内需这个战略基点,使生产、分配、流通、消费更多依托国内市场,提升供给体系对国内需求的适配性,形成需求牵引供给、供给创造需求的更高水平动态平衡。

最初にこれを読んだとき「おっ!」と思った。

特に目を惹いたのは、冒頭に掲げられた講話中のこのくだり。

引用"虽然短期内投资可以成为拉动经济增长的重要动力,但最终消费才是经济增长的持久动力。

訳:短期的に投資は経済成長を牽引する重要な原動力になるが、最終的な消費こそ経済成長の持続的な原動力である。“

けどこれはいちばん古い2015年の講話(まだ劉鶴氏が習近平政権の経済政策を主導していた頃だ)。

それが、時間を下るにつれて「消費も投資もどちらも大切」みたいな、何言ってるか分からない「あれもこれも」論調に化けていった印象がある。

願望を交えて言うと、求是ネットが今この講話集を掲載したのは「投資偏重を改めて消費重視に舵を切るべき」という考えがあってのことだと感じた。

投資重視派から「政府の政策を批判したいのか」と論難されないように、「習近平主席のお言葉だ😤(葵の御紋かよw)」「それを単純に時系列で並べただけだ」という体裁を採った。

投資重視派がみんなアタマ悪い守旧派ばかり、って訳じゃない。例えばこんな論調がある。

経済がデフレに転落しつつある今、需給のバランスを回復させるにはスピードが大切。

消費拡大は必要であり、「社会保障を充実させろ」という声も高まっているが、「国民の期待(未来予測)」という操作困難な変数が間に挟まるので、即効性がない。

だから今は農民工が多く居住する都市郊外で公共サービスを提供するインフラなどへの投資を加速するべき

こういう意見にも一理はある。

ただ、そう言った上で言うと、「投資を直ぐに減らすと経済の下振れが大きすぎるので、投資偏重からの脱却は時間をかけてやるしかない」と言われていたのは10年以上前のこと、それから全然先に進んでない。

求是ネットのこの投稿からは、一部の人のそんな焦りが覗いているように感じた。

習近平国家主席 中国共産党新聞より


編集部より:この記事は現代中国研究家の津上俊哉氏のnote 2025年12月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は津上俊哉氏のnoteをご覧ください。