高市早苗首相は、年内の衆院解散・総選挙を見送る方向で調整に入った。
物価高対策など政策対応を優先する姿勢を明確にした形だが、永田町では「解散の好機を逃したのではないか」との見方も根強い。2026年に向けた政局の主導権を巡り、与野党の思惑が交錯している。
- 高市首相は、物価高対策や経済政策の実行を優先すべきだとして、年内の衆院解散を見送る方向で調整に入った。政府・与党内では、2026年の通常国会を1月後半に召集する案が浮上している。
- 高市内閣が初めて取りまとめた総合経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算は、国民民主党や公明党の賛成を得て成立した。補正予算は「野党の一部を抱き込めば通る」という現実を改めて示した形だ。
- 首相が早期解散に慎重な理由として、物価高対策を最優先課題とする内閣方針との整合性が挙げられる。年内解散に踏み切れば「政策より選挙優先」との批判を招きかねないとの判断が働いたと言われている。
- 一方で、内閣支持率と自民党支持率を合算した「青木率」は100%前後に達しており、経験則ではこれ以上の好条件は望みにくい。
- 高市首相個人の支持率は高いが、それが自民党全体の支持回復には直結していない。衆参両院で少数与党という構図も続いており、維新と連立を組んでも政権基盤は盤石とは言い難い。
高市首相は、世論の支持が比較的高い局面でも解散を見送り、政策実行を優先する道を選んだ。しかし、2026年の最大の政治日程が衆院選であることに変わりはない。少数与党の現実を抱えたまま、いつ、どのタイミングで解散に踏み切るのか。今回の判断は、政権の安定志向を示す一方で、今後の選挙戦略に重い課題を残したと言える。
12月16日共同記者会見を行った高市早苗首相と吉村洋文日本維新の会代表 自民党HPより