NHKは17日の定例会見で、韓国のガールズグループaespa(エスパ)を大みそかの第76回NHK紅白歌合戦に予定通り出演させると改めて表明した。過去のメンバーのSNS投稿を巡る批判が続く中での判断となり、公共放送としての姿勢を疑問視する声が強まっている。
- aespaを巡っては、2022年に中国人メンバーのニンニンがファン向けアプリに投稿した、いわゆる「きのこ雲」を想起させる形状のランプ写真が、日本国内で原爆を軽視・揶揄しているのではないかとして強い反発を招いた。
ニンニンの投稿した「きのこ雲ランプ」
- この問題を理由に、紅白歌合戦への出場停止を求める声がSNSなどで拡散し、オンライン署名サイトでは約14万筆が集まったほか、参議院総務委員会でも日本維新の会の議員がNHKの判断をただす場面があった。
- NHKは会見で、所属事務所に確認した結果、当該投稿に原爆被害を軽視したり揶揄したりする意図はなかったと判断したと説明し、山名啓雄専務理事も同様の見解を示した。
- 出場判断についてNHKは、今年の音楽活動の実績や世論の支持、番組の企画・演出との適合性などを総合的に考慮した結果であり、出場予定に変更はないと強調した。
- 一方、産経新聞は、問題となったランプが「広島」「核爆発」と明記された商品として販売されていたと報じており、これに対するNHKの追加説明は現時点で示されていない。
- 司会を務める綾瀬はるか氏や有吉弘行氏が広島県出身であることから、「広島出身の司会者にaespaを紹介させるのか」「NHKの判断はあまりに無神経だ」といった批判も相次いでいる。
- aespa側からは、この問題に関する公式な説明や謝罪はこれまで示されておらず、その対応の欠如が日本国内での反発をさらに強めている。
- ネット上では、他にも歌やダンスに優れた日本のアーティストがいる中で、あえてaespaを起用する理由が分からない、受信料を支払う立場として納得できないといった厳しい意見も目立つ。
NHKはaespaの紅白出場について一貫して変更なしの姿勢を示しているが、原爆表現への受け止め方や説明責任を巡る疑問は解消されていない。多くの反対の声が上がる中での強行とも受け取られかねない今回の判断は、公共放送としての倫理観や判断基準が改めて問われる事態となっており、年末に向けて議論は過熱していきそうだ。
aespa 左からニンニン、カリナ、ウィンター、ジゼル Wikipediaより