zakokor/iStock
豊かさを引き寄せる秘訣は何か。そう聞かれて、私は即答する。感謝、愛、信頼——この3つだ。
「それ、スピリチュアルじゃん」って思った? そう、スピリチュアルだ。でも待ってほしい。
「happy money を引き寄せる 7つの法則」(本田健著)フォレスト出版
先月、東京のカフェで偶然会った女性がいる。彼女は私の本を読んで、財布の中のお金に「ありがとう」と言い始めたという。毎日、朝晩。バカみたいだと思いながら、続けた。すると——これホントかよと私も思ったが——その週のうちに、予期しない臨時収入があったらしい。
3万円。大した額じゃない。でもそれから、なぜか仕事の依頼が増えて、月収が1.5倍になったという。
「偶然でしょ」と言う人もいるだろう。そう、偶然かもしれない。でも、そういう「偶然」を何百件も見てきた。これを偶然で片付けるのは、もう無理がある。
感謝というのは、「ない」ではなく「ある」に目を向けることだ。当たり前すぎて、誰も気づかない。でもこれが、豊かさの波動——ああ、また怪しい言葉を使ってしまったが——に同調する唯一の方法なんだ。
次に愛の話。愛からお金を使う、と言うと「きれいごと」と思われる。違う。これは実用的な技術だ。
去年、パリのカフェで会った起業家がいた。彼は友人5人に食事をご馳走した。普通のビストロだ。でも心から楽しんで、喜んで払った。翌月、全く関係ないところから、大きなプロジェクトの話が来たという。彼らとは無関係の、別のルートから。金額は100万円規模。
これも偶然か? そう思いたければそう思えばいい。でも、愛は最も高い波動を持つエネルギーだ。これは重力と同じで、信じようが信じまいが働く。与えると、戻ってくる。それも、与えた額の何倍にもなって。
信頼の話もしよう。というか、これが一番難しい。信頼というのは、恐れを手放すことだ。「大丈夫、必要なものは必ず与えられる」——こう信じられるか。正直、私も完璧にはできていない。夜中に目が覚めて、不安になることもある。40年やっててもそうだ。
でも、恐れや不安は、豊かさの流れを止める。これだけは確実だ。コントロールを手放す勇気。すべてを自分の力でどうにかしようとしない。そうすると、不思議なことに、物事が流れ始める。
ああ、話が抽象的になってきた。具体例をもう一つ。
知人の経営者が会社を畳むかどうか悩んでいた。数字は厳しい。どう見ても無理。でも彼は「まだいける」と信じた。根拠なんかない。ただ、そう感じた。結果? 2ヶ月後、予想外の取引先が現れて、会社は持ち直した。今は黒字だ。
これを「運が良かった」で済ませるのは簡単だ。でも、信頼していなかったら、そもそもその2ヶ月を耐えられなかっただろう。諦めていたはずだ。
感謝、愛、信頼。この3つを育てるのが、ハッピーマネーへの道だ。でも誤解しないでほしい。これは「清貧の美徳」とか、そういう話じゃない。
お金は、この世界で使える最強のツールだ。愛する人を助けられる、社会に貢献できる、自分の使命を果たせる。お金があってこそできることは、山ほどある。
大事なのは、お金を「目的」にしないこと。「手段」として扱う。これだけだ。信じなくても、重力は働く。同じように、豊かさの法則も、あなたが信じようが信じまいが働く。だから、試してみればいい。財布のお金に「ありがとう」と言ってみる。誰かに心から何かをご馳走してみる。
1週間でいい。やってみて、何も起きなかったら笑い飛ばせばいい。でも、もし何か起きたら——その時は、この文章を思い出してほしい。
※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムの形で編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
■
22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)