立民・岡田克也氏「国民感情をコントロールすべき」の波紋がさらに拡がる

台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁をきっかけに、立憲民主党の岡田克也元外相がNHK番組で述べた「国民感情をコントロールしていく必要がある」との発言が波紋を広げている。発言の是非だけでなく、報道姿勢や日本の安全保障議論の在り方も問われている。

  • 21日のNHK番組で、岡田氏は台湾有事に関する高市早苗首相の国会答弁を巡り、中国に厳しい姿勢を評価する一部国民の感情について「しっかりコントロールしていく必要がある」と発言した。
  • 日本保守党の有本香事務総長は、首相答弁そのものは問題ないとした上で、中国側外交官による過激なSNS投稿こそが問題だと指摘し、日中友好議員連盟を通じた中国の対日影響力にも言及した。
  • 岡田氏は有本氏の指摘を「侮辱だ」と反発し、中国に厳しい世論が高まることへの懸念を示した。
  • 自民党の小野寺五典元防衛相は、政府や自民党は煽っておらず、国会での通常のやり取りに対して中国側が一方的に過剰反応しているとの認識を示し、日本側は冷静に対応していると説明した。岡田氏は政府や自民党が事態を煽っているとは言っていないと逃げを打った。
  • この岡田氏の「国民感情をコントロール」発言について、論者の間では「核保有を巡るオフレコ発言よりも危険な放言だ」との強い批判が出ている。仮に与党議員が同様の発言をしていれば、議員辞職論に発展しかねない内容だという指摘である。
  • この発言を全国紙で大きく扱ったのは産経新聞や一部スポーツ紙に限られ、主要メディアが静観している状況に対し批判も出ている。
  • 批判の根底には、安全保障議論では事実と選択肢を提示し、判断を国民に委ねるべきであり、「感情をコントロールする」という発想自体が国民を未熟で管理すべき存在と見なす危険な思想ではないか、という指摘も多く見られる。
  • 現実には、高市首相が台湾有事は存立危機事態になり得ると説明しても社会は混乱せず、国民は中国政府への警戒と中国人個人への感情を冷静に区別して対応しており、成熟した対応を示している。
  • こうした視点から、問題は国民感情ではなく、想定通りに世論が動かないことに苛立つ政治家側の姿勢や国民不信にあるのではないか、との批判が強まっている。

岡田氏の「国民感情をコントロール」という発言は、立憲民主党の安全保障を巡る情報提供の在り方や、同党が国民をどう位置づけているのかという認識を浮き彫りにした。国民を支配や管理の対象として捉える姿勢への警戒感が広がる中、政治とメディアの双方に、より透明で誠実な説明と議論が求められている。

岡田克也氏 NHK日曜討論より