ENEOS「新卒の事務職・IT職を募集停止」はAI失業時代の前ぶれか

エネルギー最大手のENEOSホールディングスが、2027年春入社の新卒採用を一部で見送る方針を示した。資源高で業績が堅調な中での異例の判断は、同社の人材戦略の大きな転換点であり、就職市場全体にも影響を及ぼすか注目が集まる。

  • ENEOSホールディングスは、主要子会社において2027年卒の新卒採用を一部見合わせると発表した。
  • 見送り対象は、事務系職種、IT企画職、技術営業を含む一部技術職である。
  • 一方、石油精製・生産に直結するプラント系技術職や研究開発職の採用は継続する。
  • 同社は理由について「筋肉質な経営体質への転換」を掲げ、業務構造の見直しを進めている。
  • AI活用や業務効率化を前提に、従来型の事務・IT人員を新卒で確保しない判断とみられる。

  • 25年卒では、事務系だけで約50人規模を採用しており、今回の方針転換は明確な縮小である。
  • 中途採用については、必要に応じて厳選採用とし、新卒一括採用への依存を下げる姿勢を示した。
  • 高年収・高いワークライフバランスで知られた事務系キャリアの将来像が大きく揺らいでいる。
  • 理系中心、特に現場密着型・研究直結型人材への選別が一層強まる構図が浮き彫りになった。
  • エネルギー大手によるこの判断は、他の製造業やインフラ企業にも波及する可能性が高い。
  • 就職市場では、文系・IT系を中心に椅子の数が減り、27年卒学生の競争は一段と激化するとみられる。

ENEOSの新卒採用見送りは、単なる人員削減ではなく、業務の再定義と人材価値の選別を意味する。高収入と安定を前提にした従来型の大企業就職モデルは転換期に入り、特に文系・IT系学生には厳しい現実が突きつけられた。ENEOSを起点に、大手企業の採用戦略は今後さらに引き締まっていく可能性がある。

ENEOSホールディングスHPより